製薬企業発の患者支援サービス——事業化に向けたPOC支援
大手製薬企業の社内新規事業プログラムを通過した、がん患者向け支援サービスのPOC(概念実証)を約半年間にわたり支援。単体では収益化が困難なサービスについて、ユーザーインタビューとプロトタイプ検証を通じて事業としての成立条件を探索。社内の意思決定者を動かすためのストーリー設計と社内マーケティングにも深く関与した。
業界
製薬・ヘルスケア
テーマ
新規事業POC・サービス検証
期間
約6ヶ月
支援範囲
POC設計・リサーチ・社内提案支援
類似サービスの市場調査・ベンチマークにAIを活用
Challenge
背景と課題
社内新規事業プログラムを通過し、いよいよ実証フェーズに進んだがん患者向けの支援サービス。社会的意義は明確だったが、単体で見たときに収益として成立するかという問いには厳しい見通しがあった。単純に売上見込みだけを示せば、事業化の判断は下りない——そのことは最初からわかっていた。
問われていたのは「儲かるか」だけではなかった。仮に単体で黒字化しなくても、会社全体の事業ポートフォリオの中でやると判断できるロジックは組めるのか。既存事業とのシナジーはあるのか。その論理構築が最大の課題だった。
さらに、社内の意思決定プロセスも壁だった。新規事業プログラムを通過しているとはいえ、実際に予算を確保し継続するには社内の多くの関係者を説得する必要がある。数字だけでは動かない人たちに、どんな文脈とメッセージで伝えれば前に進むのか——社内マーケティングの設計力が求められていた。
収益性のハードル — 単体では黒字化が見込めないサービスの事業化判断をどう組み立てるか
事業ポートフォリオ内の位置づけ — 全社視点でのシナジーと投資の正当化ロジックの構築
社内説得の壁 — 売上数字だけでは通らない社内意思決定プロセスへの対応
社会的意義と事業性の両立 — 患者にとっての価値は明確だが、それをビジネスの言葉に翻訳する必要
Approach
アプローチ
ユーザーインタビューとサービス検証
がん患者やその周辺のステークホルダーへのインタビューを実施し、サービスのモックアップをもとに実際のニーズとの適合度を検証した。インタビューで得られた声を単なるフィードバックとして処理するのではなく、どの文脈なら社内の既存事業と接続できるかという視点で解釈し、事業化の手がかりに変換した。
事業成立条件の探索
単体で儲からないという前提を受け入れた上で、どこなら行けるのかの光明を見出す作業をクライアントと共に進めた。全社の事業ポートフォリオとの関係性を整理し、このサービスが存在することで既存事業にどんな好影響があるのか、どんな条件が揃えば継続投資の判断ができるのかを構造化した。
社内マーケティングとストーリー設計
集まった検証結果を社内に伝える際のメッセージとストーリーを設計した。売上の数字だけを見せればすぐに打ち切られるサービスを、どんな文脈に乗せ、何を目指す取り組みとして位置づけるのか。クリエイティブとビジネスの融合領域での経験を活かし、社内の懐疑的な関係者を説得するための提案資料やプレゼンテーションの構成まで踏み込んだ。
検証結果の資産化
POCの過程で得られたリサーチ結果やクリエイティブコンセプトを、プロジェクト終了後も社内で活用できる形に整理した。サービスそのものの行方とは独立に、検証プロセスで生まれた知見が組織の資産として残るよう設計した。
Outcome
成果
約6ヶ月
POC支援期間
がん領域
対象疾患
社内継続
リサーチ・コンセプトの社内活用
単体では収益化が困難だったサービスについて、全社ポートフォリオの中での位置づけと継続判断のロジックを整理。数字だけでは語れない価値を、社内の意思決定者に届く言葉とストーリーに翻訳した。
プロジェクト自体は最終的にクローズとなったが、POCの過程で蓄積されたリサーチ結果やクリエイティブコンセプトはクライアント社内で引き続き活用されている。新規事業プログラムが本来生み出すべき——個別の事業の成否を超えた——文化や知見の継承に貢献した。
プロジェクト終了後もクライアントとの関係は継続しており、社内の新たなキーパーソンを紹介いただくなど、信頼関係が維持されている。
Client Voice
“生々しい情報を引き出してくるのが本当にうまい。限られたインタビューから、事業判断に直結する示唆を抽出する力は、これまで一緒に仕事をしたコンサルタントの中でも群を抜いていた。”