医療機器スタートアップの事業戦略と海外展開の検討
呼吸器領域の医療機器(ハードウェア+プログラム医療機器)を開発するスタートアップにおいて、事業戦略の全体設計から海外展開の可否判断、組織運営の改善までを約2年半にわたり一貫支援。市場戦略、薬事規制、営業・マーケティング、プロジェクト推進のすべてに深く関与し、論点ベースの意思決定体制を組織に根づかせた。
業界
医療機器・ヘルスケア
テーマ
事業戦略・海外展開・PMO
期間
約2年半
支援範囲
戦略策定・薬事リサーチ・採用・PMO
各国薬事規制の先例調査をAIで網羅的に実施
Challenge
背景と課題
CEOからの依頼は、戦略の検討と実行に手が足りないというシンプルな課題感だった。スタートアップでは経営陣が戦略と実行の両方を担うのが常だが、論点が多岐にわたる中で一人では回しきれない。市場をどう捉えるか、規制をどうクリアするか、プロダクトのリリースタイミングをどう設計するか——そのすべてに対して、壁打ち相手ではなく実行まで担える外部パートナーが求められていた。
プロダクトはハードウェアとプログラム医療機器(SaMD)が融合した構成で、日本ではPMDAの認証、海外展開するなら米国FDAの承認プロセスを通す必要がある。単なるビジネス戦略ではなく、規制環境を前提とした事業設計が求められる領域だった。
顧客側も複雑だった。医療機関、医師、コメディカル、さらには保険者など多様なステークホルダーが存在する中で、どの順番で、どんなメッセージで攻めていくか。営業とマーケティングの使い分け、組織の動かし方まで含めると、論点は際限なく広がっていた。
戦略・実行の両面でのリソース不足 — 経営陣だけでは論点の幅と深さに対応しきれない
規制環境の複雑さ — PMDA・FDAなど各国の薬事承認プロセスを前提とした事業設計が必要
多層的なステークホルダー — 医療機関・医師・コメディカル・保険者への攻略順序とメッセージ設計
海外展開の判断 — 米国・東南アジア・欧州の各市場における制度・競合・疾患領域の実現可能性評価
Approach
アプローチ
事業戦略の全体設計とPMO
市場の捉え方、規制対応の方針、プロダクトのリリースタイミング、ステークホルダーへのアプローチ順序といった論点を構造化し、実行計画に落とし込んだ。各プロジェクトの進捗管理や優先順位の調整など、PMOに近い役割まで担い、社内の報告会を論点ベースの議論に切り替える働きかけも行った。
海外展開の可否判断フレームワーク
米国、東南アジア、欧州(ドイツ・イタリア等)を候補として、各市場の保険制度、既存プレイヤーの競争環境、呼吸器領域における事業機会と制約を調査。あらかじめ撤退条件を定めた上で3ヶ月間の集中リサーチを実施し、現地の進出コンサルタントとの協働や関係者インタビューを通じて判断材料を積み上げた。
薬事規制リサーチと承認戦略
米国展開を見据え、類似プロダクトのFDA承認プロセスの先例調査、ブレイクスルーデバイス指定の可能性検討、現地の薬事コンサルタントの選定支援まで踏み込んだリサーチを実施。単なる市場調査ではなく、規制を突破するための具体的な道筋を描くところまでカバーした。
営業・マーケティング戦略と人材採用
国内のフロント戦略として、営業とマーケティングの役割分担とステークホルダー別のアプローチ設計を支援。海外展開に向けた現地人材のリクルーティングでは、エージェントの選定、要件定義、面接結果を踏まえた採否判断まで関与した。
Outcome
成果
約2.5年
支援期間
4市場
海外展開の調査対象(米・東南ア・独・伊)
3ヶ月
海外展開の集中検討期間
SO提示
信頼関係の証左
海外展開については、3ヶ月間の集中検討の結果、事前に定めた撤退基準に照らして「現時点では進出条件を満たさない」と判断。リソースを引きずらず、代替の事業拡大プランに舵を切った。ダラダラと検討を続けない規律ある撤退判断そのものが、この検討の成果だった。
事業戦略の全体設計を通じて、やるべきこととやらなくていいことが明確になり、組織の動き方がシャープになった。かつては全員が集まって報告を聞くだけだった社内会議が、論点ベースで議論し意思決定する場に変わった。
薬事規制を前提とした事業設計の知見が社内に蓄積され、国内でのPMDA対応やプロダクトのリリース戦略にも反映された。
約2年半の支援期間を通じ、社員ではないにもかかわらずストックオプションの提示を受けるほどの信頼関係を構築した。
Client Voice
“田中さんがいると、物事が前に進む。停滞していた意思決定が動き出し、組織に推進力が生まれる。そういう存在です。”