がん患者・ご家族の実体験に基づくカスタマージャーニーの策定
大手製薬企業のがん領域において、患者やご家族の「生の声」を起点としたカスタマージャーニーを策定。製薬企業が構造的にアクセスしにくい患者のリアルな困りごとを、複数の疾患領域でステージ3-4の患者への直接インタビューを通じて可視化。事業・マーケティング施策の見直しに直結する議論の素材を提供した。
業界
製薬・ヘルスケア
テーマ
患者カスタマージャーニー策定
期間
約6ヶ月
支援範囲
患者リサーチ・戦略提言
疾患領域の文献レビューをAIで高速化
Challenge
背景と課題
製薬企業にとって、患者やご家族の実態を直接知ることには構造的な壁がある。処方の決定権は医師にあり、製薬企業が患者に直接アプローチして自社製品の使用を誘導することはガイドライン上許されない。結果として、製薬企業の「顧客」は医師が中心となり、患者の声は学会発表や二次・三次情報を通じて間接的に得るしかなかった。
臨床試験や治験で患者と接点を持つ機会はあるものの、参加者は特定の属性に偏りがちで、患者全体のリアルな姿を映し出すには限界がある。フラットに見たとき、患者は本当に何に困っているのか——その一次情報に近い知見が求められていた。
がん領域は同社の中核事業であり成長も著しかったが、だからこそ患者視点での事業・施策の妥当性を問い直す材料が必要とされていた。
構造的な情報の非対称性 — 製薬企業は患者に直接アプローチできず、一次情報の入手経路が極めて限定的
二次・三次情報への依存 — 学会発表や文献からの間接情報が中心で、患者の日常の困りごとが見えにくい
治験参加者の属性偏り — 臨床試験で会える患者は限られた層に偏り、全体像の把握が困難
成長領域ゆえの問い — 事業が伸びているからこそ、患者起点で施策の最適性を再検証する必要性
Approach
アプローチ
疾患領域の選定とリサーチ設計
がん領域の中から2つの疾患領域を選定し、それぞれに対して患者インタビューを軸としたリサーチを設計。定量的なデータでは捉えきれない患者の体験・感情・意思決定プロセスを明らかにするため、定性リサーチに重点を置いた構成とした。
ステージ3-4患者への直接インタビュー
実際にステージ3、場合によっては4のがん患者をリクルーティングし、対面でのデプスインタビューを実施。診断から治療、日常生活、家族との関係に至るまで、患者が経験する一連のプロセスと、各段階での具体的な困りごとを丁寧に聞き取った。製薬企業が通常アクセスできない、患者の生の声を一次情報として収集した。
カスタマージャーニーの構造化
インタビューで得られた個別の体験を、疾患領域ごとのカスタマージャーニーとして構造化。時間軸に沿って患者・家族の行動、感情、意思決定のポイント、未充足のニーズを可視化し、製薬企業の施策との接点と空白地帯を明らかにした。
事業施策の妥当性検証と提言
策定したカスタマージャーニーを素材として、現状の営業・マーケティング施策や事業運営が患者視点で最適かどうかを議論。事業インパクトと社会的価値の両面から、施策の見直しポイントを具体的に提示し、クライアントとのディスカッションを通じてアクションプランの方向性を固めた。
Outcome
成果
2領域
対象疾患領域
Stage 3-4
インタビュー対象の病期
患者+家族
リサーチ対象
製薬企業として構造的にアクセスが難しかった患者の一次情報を体系的に取得し、社内に「患者の実態」を共通言語として持ち込むことができた。二次情報ベースでは見えなかった具体的なペインポイントが明らかになった。
2つの疾患領域それぞれにカスタマージャーニーが策定され、患者の体験全体を俯瞰した上で施策を検討できる基盤が整った。
カスタマージャーニーを起点とした議論を通じ、患者・現場に向けたマーケティング施策、営業施策、事業運営の方向性の見直しに貢献。同社のがん領域はその後も成長を続けている。
Client Voice
“一生議論し続けたいパートナー。自分がもっと偉くなったら、ずっと一緒に仕事をしましょうと、本気で思える数少ないコンサルタントです。”