2026年4月26日
こーべ通信:ベーグル作りから始める抵抗🥯
Cobe Associe は、戦略と技術の問いを現場で検証可能な仮説に変える。
『創造を通じて「自分たちだって何かを変えられる」という感覚を取り戻そうぜ』というエッセイを読んでほんまにそうやなぁと思ったので、ベーグルを焼くことにしました。中央の穴は無くなってしまったけれど結構おいしくできたので満足です。来週は全粒粉バージョンをつくって、クリームチーズを挟んで贅沢朝食にするんだ。エッセイ著者曰く、暴力・不安定化・制度不信の時代にこそ”抵抗としての創造性”を大切に、とのことでした。バルコニー農園とベーグル作りが私なりの抵抗です。
太平洋の赤道周辺海域で海面水温が急速に上昇しており、5-7月にかけて高確率でエルニーニョ現象発生が予測されています。インド、東南アジア、豪州あたりは高温・乾燥リスクが上がる一方で、米国南部や南米、中央アジアでは雨が増える見込み。影響を受ける農作物は、米・小麦・パーム油・大豆・砂糖など。日本について言えば、台風の異常発生や暖冬に気をつけなければいけません。ポテトチップスの品薄にも注意です。
数ヶ月単位で気候予測が立つようになったのって、科学の一大成果じゃないですか?もし300年前からタイプスリップしてきた人がいるとして、一番未来みを感じるであろう要素って天気予報だと思うんですよね。「明日の天気は晴れですが夕立が来ます」→嘘だ!そんなんわからんやろ〜→実際雨が降る→まじかよ…みたいに。
エルニーニョ現象の解明に大きな貢献をしたのは、南方振動という現象を発見したイギリスの気象学者、ギルバート・ウォーカー。ケンブリッジ大学で数理物理学者として活躍していたのに、いっちょモンスーン予報をやってみっか!といってインド・コルカタに移住した挑戦ジャンキーである。就任早々に「理論や数学でアプローチしてもこの問題は解けない」と見切りを付け、統計学的解析に全力を尽くすことになる。算出した相関係数は約3千個。電卓もExcelもない1904年のことである。(大学院の計量経済学講義で習った自己回帰モデル『ユール・ウォーカー式』も彼の考案だと初めて知りました)
海を渡った米国には独自の数学・算数があるらしく「割合の計算式には複数の方法がある」「600ドルのものが10ドルになったときの値下げ率は600%」と政権の偉い人が述べたりしている。私が米国在住の科学者だったら自尊心の限界を超えてぶち切れている気がする。怒りをエネルギーにした反逆の研究が米国から続々と届くのかもしれない。抵抗は一つの創造性の体現であり、創造性は抵抗の信念によってドライブされるものだからだ。
今週後半からゴールデンウィーク休暇に入る人もいると思います。ぜひベーグル作りや相関係数手計算など、楽しいものづくりにいそしんでください。あるいはロンドンマラソンの2時間切りに興奮して未来のスポーツに思いを馳せるのも良いでしょう。創造性は、社会が壊れたときの意味生成インフラなのです。
お便りをお待ちしています。
💼心惹かれたもの
Real-Time Satelite Tracker:軌道衛星、SpaceXがたくさん飛ばしているよ!と聞いてはいたけれど、実際に眺めてみるとこんなにも多いのか。衛星1つずつの運営者や実際の軌道、打ち上げ年などきれいにデータ化されている。美しさがありますよね。 link
製菓材料専門卸・富澤商店:パン業界の業務スーパー。ココロオドル。 link
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
ミシュランシェフが被災現場でつくるローカルフード:ミシュラン二つ星のホセ・アンドレスは、2010年の地震で被災したハイチで現地女性に「黒豆ペーストの作り方を見せてくれ」と頭を下げた。仕入も大量調理も完璧に行える男が求めたのは、ローカルの味を丁寧に再現する家庭の知恵だった。この出来事から生まれたプロジェクト・World Central Kitchenでは、被災者を”ゲスト”と呼び、彼らが求める味をプロの料理人に再現してもらう。ハリケーン・フローレンスのときには上陸前から料理人たちが仕込みを始め、ウクライナでは現在も最大規模の救援を続けている。専門家ほど既存スキルへの執着が強く、被災者が求めるものよりも自分たちが提供したい・しやすいものを重視しがちである。新しい文脈に立った瞬間、何を捨てて何を学び直すかが問われている。あらゆるコンサルタントはこの枠組みの支援者でなくてはいけない。 link
世代闘争の時代が近づいている:英国では2006年から2020年にかけ60代世帯の富は55%増えた一方、30代世帯のそれは34%減少している。若い世代は住宅費用と各種ローンに押しつぶされ、高齢世代は安い住宅と年金に守られている。階級闘争という言葉が静かに退場し、世代闘争が前に出てくるのも無理はない。政治はまだ「働く人」を中心に設計されているが、富の源泉はすでに別の場所に移っているのかもしれない。日本でも事情はほぼ同じだろう。さて、今後の選挙において、この分断がどう投票行動に翻訳されるのだろうか。 link
怒りは瞬時に広がり英雄行為は埋もれゆく:政治家の小さな不祥事や芸能人の不倫事件が数百万人に一気に広がる一方、地下鉄の線路に飛び込んで他人を救った人の名前は、地元紙の片隅で静かに消えていくのみである。記事が問題にしているのは、英雄が社会からいなくなったことではなく、英雄を語り、英雄を取り上げる社会メディアが着実になくなっているという事実である。怒りは前提も文脈もすっ飛ばしてエンゲージメントをとれるため、現代の情報空間と相性があまりに良い。英雄行為には文脈や背景が必要で、英雄性を感じてもらうためには演出やだらだらとした説明が必要になってしまう。怒りは安く、強く、広く流通する。あなたが今日シェアした投稿のうち、英雄候補についてのものはどれくらいあっただろうか。 link
ダークエネルギーは”定数”ではなかったのかも:暗黒エネルギー分光装置DESIが5年をかけて観測したのは、銀河とクエーサー(太陽の1兆倍以上の明るさで輝く天体)4700万個、恒星2000万個。当初予測の恒星3400万個を大幅に超え、110億年分の宇宙史を3次元地図に押し込むことに成功した大成果である。そのデータを分析すると、ダークエネルギーが時間とともに弱まっている可能性が示唆されている。宇宙り物理学者は、これまで一定値だと前提していた標準モデルLCDMには修正が要ると語る。本当に大きな変化は、何か新しいものが見つかるときよりも、「ずっと固定だと思っていたものが固定ではなかった」とわかるときに起きる。静かに起きている一大反転である。 link
枯れた技術・日陰で都市を冷やす:都市の暑さ対策というと、どうしても高機能ガラスや反射塗装の話になりがちだ。だが、本当に人を救うのはもっと古くて地味なもの、木陰やひさし、回廊、ベランダなどかもしれない。Monocleが書いているのは、暑さに強い都市ほど”日陰”をうまく設計しているということだ。木陰は気温そのものを大きく下げ、待ち時間の体感すら変えてしまう力を持つ。都市には所得格差だけでなく、日陰を持つ側と持たない側の格差もあることがわかっている。日当たりの良さばかりを褒めてきた都市論も、そろそろ少し書き換えたほうがよさそうだ。 link
陰謀論に振る舞わされないのは「考え直せる人」:68カ国・4万6745人を対象にした研究で、公衆衛生施策を支持し、陰謀論を退ける傾向を最もよく予測したのは、学歴でも政治性向でもなく『オープンマインドさ』、つまり自らの信念や考えを更新できる態度だった。多くの人は知性を知識量や議論速度で測りたがるが、長く生き残る知性をもつのは、自分の考えを作り変えられる人なのかもしれない。頑固さは信念に見えるが、実際には認知の硬直にすぎないことも多いのだ。 link
マッコウクジラは構造的に喋る:マッコウクジラのクリック音を分析すると、その並び方が人間の音韻構造にかなり近い振る舞いを見せるらしい。意味がわかったわけではないし、クジラ語を解読したわけでもないけれど、彼らが思っていた以上に複雑な形式を持って発声していることは見えてきた。人間は動物のコミュニケーションを見るとすぐに「意味があるのか」と聞きたがるが、その一歩手前、「形式を持った言語で話すか」には明確にYesの答えを返せるようになった。 link
人生をコーヒースプーンで量るということ:49日間コーヒーを断った人の記録エッセイ。コーヒー断ちが流行っているけれど、結局見えてくるのは「人生はいろんな癖の束でしかない」という事実。本当の自分を探す人が求めているものは幻想なのかもしれないね。 link
迷いや緊張を抱えたまま決断する:サッカー・ベルギー代表GKを長く務め、いまは投資家でもあるティボ・クルトワ曰く、良い意思決定とは「迷いがなくなること」ではない。アキレス腱断裂から回復し切っていない身体を守りたい気持ちと、チャンピオンズリーグに出たいという欲望。その両方が同時にあることを認めた上で、ワールドカップという長い時間軸を基準に意思決定したという。多くの人は、どちらか片方を無理やり消して話を簡単にする。しかし、消した瞬間に見えなくなるものもある。緊張を抱えたまま動けるかどうか。プロの意思決定はその一点に宿るのだと思う。 link
創造的でありたければ”ぼんやり”しよう:脳には集中のための回路と、ぼんやりするための回路がある。そして後者が動いているときにこそ、情報が統合され、思いがけない接続が起こるのである。さて、いろんな企業やインフルエンサーがしゃにむにがんばったおかげで、現代人はこの”ぼんやり時間”をほとんど持てなくなっている。退屈は敵、待ち時間はスマホで埋めるもの、という生活をしていると、ひらめきまで一緒に消えていく。不安に支配されたぼんやりはただの消耗でしかないけれど、意図的に手放す時間、何も詰め込まない余白の中でしか立ち上がらない思考もある。手ぶらで散歩に出よう。鍵を忘れるくらいぼんやりした状態で。 link
📙本
不器用のかたち:評価の高低や優劣を超えて、ただ心の往くままにやりたいことをやることって大事。巧さのことは脇に置いて、興味が向かうものをただつくろうよ。 link
いまだ成らず 羽生善治の譜:わたしは佐藤康光先生が好きです。すべては疑いうる。羽生先生、棋聖戦挑戦者まであと1勝です。決勝の対戦相手・服部七段は強敵。棋譜中継が楽しみです。 link
📻観た/聴いた
My Way:何か心が揺らぎそうになったとき、フランク・シナトラ版を聴くと勇気が湧いてきます。 ハードボイルドにいこう。
DIFFICULT by guca owl:今週も聴いてグッときてしまいました。毎週オススメしたい。まじで、難しいことをやろうぜ。前例がない旅をしよう。
🧩感じた/感じている
先週、米国留学中のテニス・ジュニア日本代表男子(中3)に「のぞみさん、うまくなったじゃないですか」と褒められたので感無量です。努力は嘘をつかない。
突然の本質。こんなところに。
🍵関心事
この1週間、このニュースレターを新しく見てくれている人が増えている。何が起きているんだろうか。
誤った前提や不確実な信念がいくつも乗っかった上で相手がしてきた相談に、どのくらいまじめに対応するか。
🥑活動報告
今日明日と、創業以来はじめての税務調査です。何が起きるんだろう。殊勝に…とにかく殊勝に…
来週は函館旅行に行きます。人生初のラッキーピエロ。やっぱりチャイニーズチキンですか?
お便りをお待ちしています。




