2026年9月13日
畳にのってストレスを減らす。
Cobe Associe は、戦略と技術の問いを現場で検証可能な仮説に変える。
イグサマット(擬似畳)を使うと集中力や注意力に関わる脳領域の活動が活発化するらしい。九州大学の研究で、調査参加者は「緊張や不安が軽くなった」と報告している。対象者は17名で平均年齢は21.5歳、たぶん九大の学生さんだろう。若い人にもある感覚なのか。
Stress resilience and engagement enhancement under the usage of Igusa (Juncus effusus L. var. decipiens Buchen.) mat: a crossover study
実験では、研究チームは被験者を防音室に2つの条件で配置した。1つはイグサマットの上に座る場合、もう1つは無香料のポリプロピレン製プラスチックマットの上に座る場合である。被験者は簡単な課題に取り組み、研究チームは脳波計(EEG)を用いて反応時間と脳活動を測定した。その後、研究チームは被験者のストレスと快適さを評価するために心理学的質問票を実施した。
数年前に中古マンションを買い、リビング横に小さな畳スペースがある。たしかに、大変落ち着く空間で、妻やぬいぐるみたちがよく転がっている。私が、フローリング床のみだった大学院時代の1Rや新卒時代の1Kで不安な日々を過ごしていたのは研究や仕事のプレッシャーだと思っていたけれど、あれは単に畳不足だったのかもしれない。フローリングの上に敷けるマットの存在に気づくべきだった。>さるるの部屋 純国産い草上敷 熊本県産い草使用 双目織 「有明」(江戸間2畳)
まともな研究者なら「まぁ小規模で対象者の偏りもあるからこれからだねー」というだろう。論文の後半で著者自身がそういっている。しかし、こういうものにでも頼らないといけないくらい、不安やストレスでいっぱいの日々である。
未来に目を向けると、心がざわっとする事実ないし見立ては多い。この冬はおそらくディーゼルが大きく不足する。そして次の夏は今年より深刻なエルニーニョ現象発症が予測されていて、異常気象もさらに増えるだろう。トウモロコシや大豆など輸入作物の価格はぐっと上がるかもしれない。どの国の財政も信頼されておらず、世界中の国債が売られ長期金利が上がっている。選挙に踊る政府はどこも税制(日本の消費税・社保、米国の関税、欧州の富裕層課税etc…)をいじって小細工を図る。なお、財政専門家はその効果に否定的である(消費税減税で物価が下がらないことは、九州ふっこう割が発表された後のホテル・宿の値付け変化をみていれば明らかだ)。目先でも長い目で見ても、わたしたちの生活は苦しくなる方向に向かうだろう。これは、気候危機による異常気象の発生確率も規模も大きくなり、それの予防・復興予算を捻り出すのにも苦戦する、最盛期を過ぎた国に住む私たちにとって必然ともいえる帰結である。
↑の各見立ては私にとって、事実と科学に基づく極めて妥当なものなのだけど、皆さんにとってどうかはわかりません。確かめようとも思わないし、議論するのも億劫だ。幸いにも、自分自身の正しさをあらゆる方面に説かなくてはいけない立場でもないし(これは得難い特権)、間違っていたとしても誰の生活も損なわないように思想と行動を切り分けている。「おまえは間違っている!」と大声を張り上げる人の近くにいるのも疲れるものだ。まともな議論が出来る人は、もう議論が必要な場には残っていないのかもしれない。まともな人はみな社会の”現場”にいて、私たちの社会の土台を支えてくれている。休日夜間の病院や、高圧電線を支える鉄塔や、復興工事の作業員詰め所、そういう所にこそ賢人がいる。
私たちに出来ることは少ない。それでも、感情で誰かを傷つけないように、ただ畳上で佇むことはできる。できることをしよう。
お便りをお待ちしています。
💼惹心
美々卯 宅配うどんすき:関西人でない私には馴染みのなかったうどんすき。伊丹空港で頂いたら大変おいしく、おせち代わりにこれでも良さそうだと心惹かれています。百貨店ではもうおせちの注文が始まっているようで、季節の移ろいの早さよ。 link
✏️読
📃記事
東洋英和女学院 生徒礼拝:高校3年生のメッセージにしてあまりに卓越。真摯で率直。こういう方が素直に真っ直ぐに生きていける世界を守りたいです。 link
今日、ここに立つにあたり、わたしは自分が何かを伝え得る人間ではないと思いましたし、わたしの一言で誰かの心を変えられると信じるのはたいへん傲慢なことだと思いました。ですので、これは単なる自戒と一つの提案ですが、世界が多様性と呼ぶものをもっとよく知ったら良いと思います。それは名も知らぬ誰かのためではなく、明日のあなたのためになるかもしれません。世の中には色々な人がいます。傷つきやすい人、大らかな人、落ち着いている人、焦りがちな人、空気が読める人、自分の芯を持っている人、それ以外にも多くの人がいますね。この学校にも色々な人がいます。あなたのクラスにも色々な人がいます。そしてあなた自身もその色々な人の中の一人です。「色々な人」や「多様性」という言葉は、存外身近に、それもすぐ横にあるものです。知っていれば、それが恥ずべきことではないと胸を張ることができます。不当な扱いを受けたときに怒ることができます。そうかもしれないと言う人に、無意識の礫(つぶて)ではなく安らかな木陰を与えられます。
罰金500ドルでブランド露出?安いものだよ:ジョーダンがNBAデビュー年に規定違反のスニーカーで1試合5,000ドルの罰金を科され、その伝説がナイキの70億ドルブランドを生んだ。40年後、同じ物語がNWSLで進行中で、今回は真偽を疑う余地がない。カンザスシティのミシェル・クーパーはニューバランスのスパイクを履き、7月に2ゴールを決めて500ドルの罰金を(喜んで)支払った。8月にまた罰金を受けると処分通知のスクリーンショットをインスタに投稿し、続けてそのスパイクの購入リンクを貼った。2026年から始まったリーグの露出契約は、ナイキ以外のブランドに最低10万ドルの手数料と選手一人あたり年5,000ドルを課し、払わなければ選手個人が罰金を取られる。違反のたびに倍増し上限32,000ドル。ニューバランスは喜んで補填してあげることだろう。link
15歳の学力、10年で1学年分後退:OECDが9/8に公表したPISAの最新回は、パンデミック後の回復を期待した政策担当者を大きく裏切った。2000年以降の全回に参加した加盟23カ国の平均は2012年頃をピークに下がり続け、数学と読解では、今の15歳は10年前の14歳の同レベルだ。3分野すべてで低成績と判定された生徒は16%→20%へと増加。OECD責任者は、設問を高速で読み飛ばして誤答する『性急な読者』の増加と、未検証・効果不明な教育ソフト乱用で生徒が”衝突試験のダミー人形化”していると嘆く。日本はシンガポールに続く上位なのだけど、知性は相手も持っていて初めて役立つもの。相対優位にさしたる意味は無いだろう。 link
地形変化をシステムとして捉える防災へ:富山・石川の豪雨と同じ週に、ネパール・チベット国境で氷河と岩盤が崩れ、谷の地形が全く違う形に変わってしまった。安宅和人氏は、日本の防災が「現在の地形を初期条件として外力を与える」想定に依拠して全てが組み立てられていないか?と警鐘を鳴らす。流域治水への転換で変わったのは想定する豪雨の最大規模であって、そもそも地形が変わることでの複雑系変化への対応は盛り込まれていない。深層崩壊も河道閉塞も言葉自体は敷衍したが、それらは防災の観点にどの程度織り込まれているのだろうか。ハザードマップに複雑系はどの程度織り込まれているのだろうか。神戸北部の六甲山から淡路島東端にいたる断層の地震リスクがちょうど再評価されたばかりで、身近な危機としてじっくり読みました。link
金塊が米ニューヨークから出ていく:ヤップ島の石貨は直径3.7メートルで動かせないから、所有権のみが取引されていた。現代の中央銀行の金取引もほぼ同じ仕組みをとっている。世界中の中銀はその金保有の大半をニューヨーク連銀の地下金庫に安置し、決済のたびに区画を移すだけで済ませていた。やろうと思えば動かせるものを物理的にそのままにしておいたのは、米国の金融システム、ひいては米国政府の言葉が信用できたからだ。ポール・クルーグマン及び欧州の中銀にとって、この信用は既に過去形のものである。9月初め、オランダ中銀は約120億ドル分の金をロンドンのイングランド銀行へ移すと発表し、フランスはそれより大きな額を自国の首都・パリへと移した。国際法もまともに守れない国が、関税だなんだと称して金を差し押さえることもあるのでは?と真剣に疑っているからだ。経済的な影響はもちろんほとんどない。しかし象徴としての意味合いは大きい。欧州の銀行は、他人の金を盗まないという最低限のルールすら米国政府に期待していないのだ。link
ハッキングされたのは軍基地の冷凍庫:8/26-27にかけて、11州にまたがる軍の売店で冷蔵・冷凍設備の故障報告が14件同時に重なった。アリゾナのフォート・ワチュカ基地の公式Facebookは「一晩で全冷凍庫が解凍モードに入り、中身がすべて腐った」と告知し、停電では、というコメントに「電源は落ちていない」と返信。辿っていくと、売店の冷蔵・冷凍設備は国防総省の遠隔監視システムで制御されていることがわかってくる。明確な証拠はないが、しかしここまで同時に重なることはあり得るのだろうか。国防総省は複数の売店で「冷蔵設備の不具合の可能性」を認めている。冷凍ピザ売り場が国家安全保障を語る格好の現場になっている。link
地上ロボットの98%は運搬係:2024年8月にウクライナ情報総局の特殊部隊が急襲したキンブルン砂州に、2026年7月、無人艇が送り込んだのは戦闘用ロボットだった。機械が機械を自律的に届ける仕組みが動き出している。第3突撃旅団のロボット大隊が担う業務の95%は補給と後送で、戦闘活動は全体の2%に留まる。先月20日前のデータで、同大隊の前線任務は10万回を超え、昼夜問わず3分半に1回出撃している計算になる。補給の最終区間ではトラックからピックアップ、ATV、徒歩へと積み替えるたびに運搬量が減り、敵偵察に読まれる可能性が高まってしまう。負傷兵が25キロ歩いて陣地を離れた記録もある。殺傷力の増強ではなく労働吸収にロボットを活用する。技術導入が進む現場の問題意識は常に切迫したものである。link
『新たなウォーキズム』富裕層出身同士の階級闘争:マムダニ市政のニューヨークで、タブロイド紙が民主社会主義者の豪華な私生活を連日晒しあげている。親が買った150万ドルの家に住む反富裕層リーダー、著名音楽プロデューサーの娘の家賃廃止論者、400ドルのラルフローレンを着て船上で葉巻を吸うチョコレート帝国の相続人。「ノブレス・オブリージュって聞いたことない?」の言葉が紙面を踊る。2020年代にリベラル・左派が進めてきた”ウォーク”活動の初期(Woke 1)はLGBTQなどアイデンティティに関わるもので、いま目の前にある対立(Woke 2)は階級に基づくものである。典型的な争点移動だ。マルクスがエンゲルスの繊維業の財産に頼った時から、左派は金持ちに養われ、右派はそれを揶揄してきた。オーウェルは「社会主義の最悪の広告はその信奉者である」と書いた。この構図は現代も変わっていない。社会主義の思想は素晴らしいかもしれない。しかし社会主義を盲信する人たちは最悪だ。 link
ランナーの走跡で賃貸物件を目利きする:不動産投資家は昔から消費需要の代理指標を探してきた。交通量、所得、人口流入、あるいはスターバックスの出店判断へのただ乗り。無料で知れ渡る国勢調査は2年遅れの遅行指標だ。筆者は、ランニングアプリ・Stravaのデータを使えば「富裕層がいまどこにいるか」をタイムリーに把握できるのでは?との仮説でヒートマップをつくっている。アイアンマン参加者の世帯所得は米平均の3倍、ランナーの大卒率は76%(vs米国民の3割)。インディアナポリスの走行強度を画像から抽出して227の国勢調査区の所得と重ねると、北側の背骨は両方で光り、南西は所得が安定しているのに誰もランニングを行っていない。世帯所得19万ドルのウィリアムズ・クリークには走跡がほぼなかった。車でジムに通う金は痕跡を残さないからだ。噛み締めがいのあるデータ分析だ。link
いちばん高い商品を「おすすめ」にするな:韓国のカフェで、おすすめドリンクの横により高額の選択肢を並べると売上が58%増えた。おすすめが最安なら購入意欲は24%上がり、最高額なら逆に8%下がる。Amazon’s Choiceのラベルは商品が2番目に高い位置なら選択率159%増、3番目に安い位置なら357%増。南洋理工大とインディアナ大が6千人超対象に8つの実験を重ねた研究がJournal of Consumer Researchの2026年7月号に載っている。一番高いものを勧められた瞬間、人は『店側はこの商品を選ぶと儲かるんだな』と読み、おすすめをそうは捉えなくなる。安い方を勧められるととたんに裏を探らなくなる。どうしても高い方を推したいなら、”ベストセラー”のような客観的理由を添えろ、が処方箋。link
📙本
滅ぼす(ミシェル・ウェルベック)上下巻:最後、舌癌のために切除を提案されて断るシーンに心がぐっとくる。貴重な日々。余暇を愛そう。 link
「わたしには一日中何もしないでいるなんて無理そうだな。そんなことはしたことがない」とプリュノは冷静な声で言った。「君にはできそうだけどね」たしかにできそうだと、ポールは思ったが、それが幸運なことかどうかまではわからなかった。今日ではおそらく、大部分の人は、それは幸運ではないと答えるだろう。しかし、彼が生きているのは、仕事や、仕事を通じて才能を開花させることを、異様なまでに重要視する時代である。反対に、かつてはほとんどどんな時代でも、暇であることこそが賢者にふさわしい生き方であると考えられていたのではないか。家に着く直前、誰もいないベルシー公園のベンチに腰掛けた。自分は休職中だと何度も口にした。彼はこの言葉を気に入った。 (下巻、p141)
間合い: 生態学的現象学の探究:リズムを大切に。まずは正しい状況認識、つまりは眼のトレーニングから。次に足、そこから肚で最後に技術。 link
昔からの剣道の教えに、「一眼二足三肝四力」という言葉がある。これは剣道で重要な順に、洞察カ(知覚力)、足の移動、度胸や落ち着いた心、そして最後に「力」であることを教えた言葉である。この力とは体力ではなく技術力のことである。パターン化された動きを体に覚えさせることの重要性は、スポーツの世界では当然であり、一種の自動性と安定性がむしろ心に余裕と自由を与える。しかしここで言う「パターン」という言葉には二つの注意が必要である。ひとつは、「パターン」が有効に機能するためには、上で述べた差異に対して差異で応じる対応が必要なこと。そして、パターン化された動き、型のある動きは読まれやすく、まさしく「眼」の餌食となることである。試合の直前まで新しく獲得した動きのパターンは、相手に隠しておくくらいなのだ。 (p.51)
📻観た/聴いた
全米オープン 準々決勝 アルカラス vs シェルトン:とんでもない身体性の競い合い。このニュースレター配信の前後で男子決勝、ズベレフvsシェルトンが予定されています。女子S、リバキナは見習うべきフォームをしている。また練習。 link
🧩感じた/感じている
コンサルタントにとってのオープンソース活動って何だろう。調べものの手順やインタビューの準備、論理誤謬の見つけ方まで、Githubなんかで公開してみたい。いろんな人にPR送ってほしい。金のためだけに書かれたコードが美しくないように、提案書や成果物も同じである。
米特使と会談した直後に「ロシアとの戦いは冬を越えて長期化する」と語るウクライナ外交官。アメリカはもう調停者としての信頼を失ったんだろうな。一度失った信頼は取り戻すのが難しい。
まともであることの価値の根拠が多数派であることでしかない、というのは日本の病気なのか。それとも人類の普遍的な課題なのだろうか。
🍵関心事
王位戦第6局・藤井聡王位vs伊藤匠二冠は大熱戦。110手目・1三桂、どういう経験を積むと指せるようになるのだろうか。鍛錬あるのみだ。
君よ、自己正当化の論理ばかりうまくなってどうするんだろうか。
🥑活動報告
提案書をもりもり作成中です。形にしてみせるど。
お便りをお待ちしています。
