2025年10月12日
覚悟をきめるとたどり着ける場所がある。
Cobe Associe は、戦略と技術の問いを現場で検証可能な仮説に変える。
今月末がCobe Associe第7期の納税タイミングである。税理士さんと決算をまとめ、法人資産や預金口座を改めたのだけれど、「あんまり変なことせんで、細々となら、向こう20年くらいは平和に生きていけるなぁ」となった。西麻布に住むつがつした事業家ならこれを元手にレバレッジをかけ加速(あるいは飲む打つ買うで散財)…となるのかもしれないけれど、私は特段何をするのでもない。法人税や消費税の支払日を決めて資金繰り留意事項をGoogleカレンダーに登録するのみである。
経営コンサルタントとして働く人にとって、目先の金銭欲は大敵である。自らの儲け最大化を優先順位のド頭におき、不要不急のお仕事を提案する人が信頼を得ることは難しい。人そのものが価値創出の根源であるコンサル仕事において、欲が生み出すノイズは困りものである。コンサルタントは究極的な意味で、商売人であってはならない。
「専門家」とは、自分の立場を専門領域に限定し、その枠の外に出たときにはなんの責任も持たない(取らない) 人たちであるが、それに対して経営者が預かるのは、当たり前だが、社会的主体としての「会社」の全存在だ。 ところが、科学とは呼べない経営理論が権威あるものとして流布され、経営手法なるものがあたかも実在するかのように説かれ、それを説法して回るコンサルタントがはびこり、経営用具をソリューションともっともらしく銘打って売り歩く道具商が出入りし、一方で資本市場に出れば整列して成績評定を受けることを繰り返すうち、いつしか、経営者の脳内は、時勢を覆い尽くした抽象概念としての「経営」のあるべき論に、根っから支配されるようになってしまったのである。「戦略論」も「市場競争」も「企業価値」も「経営指標」も「成長戦略」も「組織論」も「改革手法」も「M&A戦略」も「事業開発プロセス論」も「人材育成論」も……皆、もっともらしくあるべき論の顔をしてはいるが、それを文字通りのあるべき論として受け取ったところで、所詮それは生身の「会社」を、観念上のゲーム・プレーヤーとして行動させる競走レーンに(競走馬の如く) 都合よく押し込めるためのものなのである。
(石井光太郎著『会社という迷宮 経営者の眠れぬ夜のために』)
コンサルティングは、お座敷に声がかかってこその職業である。ずば抜けて優秀なコンサルタントがいたとしても、時期悪く風が向かず、そのとき十分な預金がないなら、看板をたたんで別の仕事を始めるかコンサルティングファームのスタッフを目指さなくてはいけない。(コンサル会社スタッフとコンサルタントは、仕事の質や目的をして異質な存在)いま私が覚悟を決めさえすれば、死ぬまで事業コンサルティングの看板を掲げ続けられる(たぶん)。あとは良い仕事が出来るように自らを磨くことだ。コンサル仕事にとって最も必要な信義と信用は一夜にしてならず。
先週お客さんと雑談していて、いつまでコンサル業をやるつもりなの?と聞かれた。意図はわからなかったのだけれど、「たぶん10年後も同じ仕事をしています」と答えた。すごく満足そうな表情がかえってくる。曰く、いろんなコンサル会社・コンサルタントに委託をしてきたけど、みな利に聡く儲かる所にどんどん吸い込まれていってしまうから、長い目で一緒に働く相手にならないのだと。覚悟を持った人だけに回ってくる仕事があり、道を決めた人にだけいける道がある。
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💼心惹かれたもの
Noise Complaints:ここ数日のBGM。音楽と場の空気が魅力。 (link)
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
チェスにおける不正行為の蔓延:チェスのグランドマスターであるマグヌス・カールセンは2022年、白番を持ちながら8年ぶりに敗北。対戦相手はAIエンジンを使って不正を行っていた。Chess.com の最高チェス責任者が当時を振り返りながら、AI時代における「信頼」「倫理」「所有」の危機を、そしてそれらと向き合う葛藤と自省を語っている素晴らしいエッセイ。 (Quillette, link)
AI革命は「海上コンテナ」型のイノベーションである:新技術が登場した際にどう富が分配されるかの歴史。マイクロプロセッサのような社会的過小評価技術はスタートアップや優秀な個人にチャンスがあったが、海上コンテナのように利益が明確なテーマであれば技術を支える希少資源を持つ大手企業・資本家がそのイノベーションの果実を得る。さてAI。50年にわたる研究の集積であり、GoogleやMicrosoft等巨大企業が市場を支配し、多くの企業はただAPIをたたく”許可”型の事業をするのみ。AI時代に投資をするなら、希少資源であるデータセンターや半導体/GPU、電力。あるいはAIを利用して生産性を向上させる既存の知識集約型産業が良い。海上コンテナ技術普及の利益を最も受けたのは、IKEAやウォルマートだったのだ。 (Colossus, link)
米国の囚人はどんな罪で収監されているか:受刑者の62.5%は暴力犯罪。過去の逮捕歴の中央値は9回。3/4以上が5回~の逮捕歴。隠れた犯罪歴も相当あるはず(411人の男性を対象としたある研究では、自己申告による犯罪件数が有罪判決件数の30倍以上とのこと)日本で同じ統計を取ったらどんな見え方になるんだろうか。 (Patterns in Humanity, link)
宇宙からの世界監視を強化する中国:中国が軍事目的の宇宙利用を急速に拡大させており、特に宇宙空間からの監視・偵察能力が、人民解放軍(PLA)の作戦能力を飛躍的に向上させている。Yaogan/遥感(軍事偵察衛星プログラム)とGaofen/高分(民生用地球観測システム)という2つの衛星シリーズから得られたデータを解析し、海軍による水上・懐中ターゲット探知や弾道ミサイルの早期警戒システム構築に活用している。リアルタイム監視能力でいうと中国の能力は世界一といってもいいかもしれない。 (idsa, link)
“レバレッジポイント“ 梃子に介入せよ:システムはストック/蓄積とフロー/流れ、それを調整する遅延経路とフィードバックで動く。さてどこに介入すべきかと考える時、↓リストで深い項目に介入する度に効果は大きくなる。より明確に理解すべく、繰り返し噛みしめて読んでいる。私が日々やっているのはシステムのルールが対象で、もっとレベルが高いことをやろうとするならパラダイムに介入しないといけない。宗教・信念の時代。 (Academy for Systems Change, link)
インパクトが小さい者から順に、、、
定数・パラメータ・数値(補助金、税、基準など)、バッファ・在庫等安定化ストックの大きさ(フロー相対比)、物質的なストック・フローの構造(輸送ネットワーク、人口の年齢構成など)、システム変化率に対する相対的遅延の長さ、負のフィードバック・ループの強さ、正のフィードバック・ループの利得・増幅度、情報フローの構造(誰が情報にアクセスできるか/できないか)、インセンティブや罰則などシステムのルール、システム構造を追加・変更・進化・自己組織化させる力、システムの目的、システム(目的・構造・ルール・遅延・パラメータ—等)が立ち上がる心的枠組み/パラダイム、パラダイムを超越する力
38歳起業家が20-30代のみんなに伝えたいこと:35歳を過ぎるとリスクを負った人と負わなかった人の違いがわかる。子どもを持つことは終わりではなく始まり。一つのことに徹底的に夢中になれ、マニアックであれ。退屈で競争ばかり、従来のやり方に従うな。忙しさは危険。 (Unfiltered, link)
良いか、悪いか、それ以外か:GoogleマップやYoutubeレビューのお話し。ごもっとも。アンケート設計を一度でもしたことがある人ならわかると思うのだけれど、尺度を整えることは大変難しい。 (たよりない話, link)
自分の目に従う勇気:多くの人々が他人の評価や権威に頼り、自分自身の見立てや判断を信じる心を失っている。「誰がなんて言おうと…」と言い切る勇気を持つためには、たくさんの決断・判断(と間違い)を引き受けるしかないのだけれど、他人やAIに責任を押しつけてきた人にそれを期待するのは酷なのだろうか。謙虚であり続ければ、決断と間違いを通じて自らの目は正しいものに仕上がっていくはずだ。 (Taejun’s Substack, link)
どこにいてもより多くの美を創造すること:私も心がけたい。既存大手宗教とは無関係に、いま必要なのは広義の信仰なんだとおもう。↓は心に残る素晴らしい言葉だった。闇には光、分断には愛、破壊には美で応えよう。 (Isaac French, link)
もっと大胆に愛すること。自身と同じように考える人だけではなく溝を越えて橋を架けるような人を愛そう。
📙本
パーティーが終わって、中年が始まる:phaさんの新刊。終盤、推しや愛に関する文章が心に残っています。本当に、それは許されているのだろうか。 (link)
アイドルのことは、どんなに好きだと公言してもいい。写真を部屋中に飾りまくってもいいし、相手について「神」とか「最高」とか、SNSで勝手なことを言いまくってもいい。妄想の中で勝手な役を演じさせてもいい。
アイドルという職業に対しては、一方的に愛情を注ぎ込んで、相手の存在を一方的に消費することが許されている。
そんな職業が存在する理由は、人間には、相手を人間扱いせずに一方的に愛情を注ぎたいという欲望があるからだろう。新訳 アレクサンドロス大王伝:イーロン・マスクや孫正義など経済文脈でクレイジーな人はたくさん本になる時代にあって、領土拡張・民族隆興の観点で突き抜けた人の伝記はいっそう面白い。アレクサンドロスが生きていたのはいまから2,400年前で、プルタルコスが彼を含む英雄の伝記を書いたのが2千年前。時間の試練をくぐり抜けてきた本はどれも素晴らしい。 (link)
自発的隷従論:16世紀に「なぜ人々はかくも能動的に隷従を選びとり、ときにそれを嬉々として支えさえするのか」と問うた若き法学者、ラ・ボエシ。圧政の善悪ではなく、隷従を支える構造、人間の本性を探ろうとした短い論考を読み、フロムの『自由からの逃走』やオルテガ『大衆の反逆』の内容と脳内調味しながら考え事。私たちが求めている自由とは、本当はどんな形をしているんだろう。 (link)
📻観た/聴いた
立川談春 独演会:初めて生で『鼠穴』を聴いた。商売で成功している兄からわずか3文(数十円)しか借りられなかった弟が怒りを燃料に一念発起、事業も家族も手に入れて兄に金を返しに行くがそこでお互いはらをわって話し、盛り上がって酒をずいぶん飲んだら…というお話し。「自身では反省した気になっているが本質何も変わっていないやつ、そんなやつには理屈も説得も通じない」兄の口を借りた談春さん語りは心に来るものがあった。正しい自己認識はすべての前提 (link)
20歳の時に知っておきたかった厳しい真実40:『モチベーション3.0』なんかで人気のダニエル・ピンク、彼ももう61歳。そんな彼の若者向け人生訓、いくつか抜粋。
『嫌な奴とは仕事をするな』『近道は詐欺、王道を往け』『履歴書よりも実績をつくること』『冷笑・皮肉は知性ではない』『許可を待つのをやめろ』『もっと本を読め』『すべては平均に回帰する』『好奇心は確信に勝る』『若いうちはイエスを、歳を取ったならノーを多く使うこと』
🧩感じた/感じている
趣味の心持ちで仕事をする人は信頼できる。仕事のように趣味に取り組む人は向き合い方を見直した方がいい。
コテンパンに負けた経験は人を強くする。
日常生活のノイズを減らそうと、スマホからニュースアプリを削除し、資産管理系サービスのウィジェットを非表示にする。株式や暗号通貨市場がクラッシュしたとしてもあなたの何かが失われたわけではない。あるいは失われたとすると、何かが間違っている。
🍵関心事
ガザ停戦合意の行方。既に6万7千人以上が犠牲になっているこの紛争、どう収束に向かうのか。
政治の人質にとられやすい資源・エネルギー領域の向こう10年間。レアアースや原油、ウラン…etc
身近に潜む『ホブソンの選択』の事例。こういう不公正な選択肢を提示する・させることを営業やマーケティングの本質だと語る人がいるが、あまりに不誠実である。選挙でも民主主義の名の下にこのタイプの意志決定を迫られることがあり、むなしい気持ちになる。
実際には一つのことしか提示されない自由選択のこと。…最もよく知られている例は、「選択肢を与えます。それを取るか、放棄するか、どちらにする?」というもの。
🥑活動報告
新事業の向こう3ヶ月取り組みテーマ:EC構築とWMS/OMS連携、クリエイティブスタッフ口説き、金融機関周り、大仕入。
創業8年目にしてはじめて事前確定届出給与をやってみようと税務署で手続き。何でもやってみるもんですね。
次の東京出張は12月上旬。
<お便りをお待ちしています>

