2025年2月23日
池田晶子『残酷人生論』『絶望を生きる哲学』を読んだ👀
Cobe Associe は、戦略と技術の問いを現場で検証可能な仮説に変える。
幸いなことに、ずいぶんと平和な人生を歩んできた。小中高とそれなりに真剣に野球をしていたときにはしんどさを感じることもあったし、新卒で入ったコンサル会社で土日なく働いていたときには「なぜ自分だけ…」世を恨めしく思ったこともある。30歳を超えて多少は世の中に目を向けられるようになると、ああ自分はなんと甘い環境で生きてきたんだろうと思うようになった。天才と崇められプロを目指すも26歳がきたら突然社会に放り戻されることもなければ(将棋)、世界で上位1千人にはいるアスリートなのに年収1万ドルに満たない中でがんばり続けなければいけないようなこともない(テニス)。ましてや、他国大統領の気まぐれによって明日の食料に困ることも(特にアフリカ諸国)、銃弾・爆撃に怯えながら生活することもない。
こんな恵まれた環境にあって、不自由を嘆くことに何の意味があるんだろう。こんな恵まれた環境にあって、不平を述べることに何の意味があるんだろう。池田晶子の本を2冊立て続けに読んで、改めてその思い(むしろ、意味などないという確信)を新たにした。
彼女は「哲学エッセイ」という新たな分野を切り拓いた文筆家だ。中学生の読書感想文課題図書によく選ばれる『14歳からの哲学』をはじめ、彼女の文章からは、専門用語を使わず、平易な言葉で深遠な哲学的問いを探求する姿勢が伺える。「考えるとはどういうことか」を問い続け、読者に思索の重要性を滔々と説く。
考えるということは、残酷なことである。ぐずぐず悩むことに人を甘やかさない、ありもしない慰めで人を欺かない、人生の真実の姿だけを、きちんと疑い考えることによって、はっきりと知るというこのことは、なるほどその意味では残酷なことである、と。 (残酷人生論)
日常は理不尽で溢れていて、私たちは考えることを放棄し、「忘却」「慰め」などいろんな武器を駆使してなんとか日々やりくりをしている。なかでも一番強い武器は、無視することである。いろんな本質的理不尽から(ほとんど無意識に)目を背け、職場の小さな諍いや月々数千円のガソリン代、金融資産の多寡のような"扱いやすいサイズの不満"で頭の中を一杯にしている。
自分たちの人生に所与の意味などなく全て無目的であること。私たちの人生は向こう数十年のうちに終わりを迎えること。脱炭素だ火星移住だといくらがんばってもいつか地球が宇宙の藻屑になること。私たちの潜在意識は、こういう大きすぎる不条理から私たちの脳を守ってくれている。しかし果たして、平和でありがたい時代に生きる人間として、それだけでいいのだろうか。日常の暴力、残酷さが取り除かれた世界に生きる私たちこそ、真剣な思想と残酷に向き合わなくては行けないのではないか。
『絶望を生きる哲学』の帯には、
自分の人生を、他人のせいにするな。
とある。私たちはこざかしい論理を使って、いろんな不都合を他人の(匿名化処理するなら「社会の」)せいにすることができる。しかし池田晶子はそれをするなと言う。他人の、あるいは社会のせいにする精神こそが時代や社会を蝕んでいるのだと。ありもしない慰めや甘ったるい悩みに憩う心こそ不自由なのだ。
この2冊には、「知識と情報」「私と他者」「自由と善悪」「幸福と不幸」など広範なテーマで残酷な真理が語られている。自分の頭と思考の可能性を信じる全ての人に、一度は手に取って欲しい書籍だった。真実の一部を共有したい。
「わかる」と「わからない」の間には、意志や努力や他人の命令を拒絶する決定的な断絶がある。だからこそ、わかろうとしない人をわからせることは不可能である。実際にわかるためには、わからない状態において、わかることへの不断の意志が必要
自分について「私は」というときの"私"とは、実に不確かなもの
魂は、認識する宇宙の容器
不平と不自由を嘆くのは、社会を認めているから。社会を認めるのは、不平と不自由を言いたいから
人が、自分の自由に気づこうとしないのは、ほんとは自由など欲しくないから
幸福とは内容というよりも形式、魂そのものよりも魂の「構え」のこと
💼心惹かれたもの
メダリスト クエン酸コンクミネラル:だんだんに春が近づいてきて、熱中症のことを考えなくてはいけない季節になりました。「自衛隊が訓練中に飲むらしい」との噂を聞きつけ購入。赤よりも青!とのこと。次のテニス機会で試してみます。 (link)
山椒・奥出雲のはじかみ:これに4千円は高い!と思うはずなんですが、1回飲み会をスキップすれば買えると腹を括ってポチって欲しい。卵かけご飯、野菜炒め、餃子、たこ焼き、カップ麺、、、あらゆるものに削り入れている自分に気づくはず。おいしい。おすすめ。 (link)
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
楽観主義者は貯蓄額が多い:米国・英国など14カ国・8件の大規模調査データを用いて14万人以上のデータを分析し、楽観主義スコアの標準偏差が1高くなると貯蓄残高8千ドルの家計で貯蓄額が1,352ドル(約20万円)高くなっていた。雇用状況や健康状態など他要因を制御しても同様の相関関係が維持されていたよと。さらに、楽観主義な方が貯蓄額が多いという関連性は、低所得の人々で最も強いとのこと。前向きに生きていこう。 (Gigazine, link)
ナミブ砂漠を自転車で駆け抜ける4日間:人間性を取りもどす旅だ。『地球の使い方』を読んで以来、こういう旅への憧れが強くなっている。 (The RADAVIST, link)
火星でリモートワークをする:地球にいながら火星探査機を動かすことができるの、冷静に考えてすごいことだよな。 (Nature, link)
国民の健康を犠牲にすることなく、2.3~7.3兆円の医療費削減が実現可能な「5つの医療改革」:津川先生の医療論は常に論理的かつ明確。SNS上で寄せられている批判や反論はどれも反論の体をなしていないことをみて、これまで適当識者が流布してきた甘ったれた医療政策主張の害を感じています。 (note, link)
70歳以上の窓口自己負担割合を一律3割負担とする(1.0~5.1兆円の医療費削減効果)
OTC類似薬を、保険収載から外す(3200億円~1兆円の医療費削減効果)
無価値医療を保険収載から外す(9500億円~1.2兆円の医療費削減効果)
外来を包括支払制度にする
エビデンスに基づく予防医療を保険収載する
VC・イーグルキャピタルとして米政府をみてみると...:ハイリスクでも期待値が正なら突っ込む。これが資本主義の雄として米国がやっていること。 (No Mercy No Malice, link)
マッキンゼー「現代のビジネスリーダーはアスリートに学ぶべき」:CEOにはポジティブなエネルギー、無私の精神と奉仕の精神、継続的な学習への信念、気概と回復力、平常心、スチュワードシップの受容が求められる。これらはトップ層のアスリートが身につけているもの。 (McKinsey, link)
成長の迷路とアイディアの迷路:みんなアイディアの良し悪しばかり議論しているけど、大事なのは成長の道筋を真剣に歩むこと。良いアイデアとは、アイデアの迷路を俯瞰し、アイデアのすべての順列と意思決定ツリーの分岐を理解し、各シナリオの最後まで物事をゲーム化することである。 (@andrewchen, link)
日本流、人生を向上させる33の方法:人から学ぼう。>"日本人はおそらく世界一の文化流用主義者だ。 カレーからオムレツ、ファッションに至るまで、日本は他国の文化を取り入れて自分たちのものにする" (MR PORTER, link)
モノゴトをはじめるときの「心地よい不快さ」:行動を起こすことが重要だと認めるのは簡単...しかし、行動を起こすには不快感を心地よく感じる必要がある。この不快さを最近感じていないとしたら、人生の何かが間違っている。 (Big Desk Energy, link)
自己再生への道:人生は頂上のある山ではない。そして私たちはフジツボと違って場所を変えることさえ出来る。すべての道の終わりには、自分自身に出会うことになる。今週もがんばろう。 (pbs by John Gardner, link)
📙本
細かいところが気になりすぎて:銀シャリ橋本さんのエッセイ。強い自意識を濃い文章に昇華するこのスタイル、見習います。 (Amazon, link)
世界資源エネルギー入門―主要国の基本戦略と未来地図:『エネルギーをめぐる旅』からもう一歩踏み込んで世界中のエネルギー事情・外交を理解したいなと思い読み始めた本。ロシアや中国、米国や中東など主要地域はもちろん、イタリアやトルコなどの戦い方、商社としてのドイツの役割なども紹介されていた。エネルギーは産業の基本。どんなプロジェクトをやるにしても活きる知識基盤。 (Amazon, link)
村上春樹 雑文集(新潮文庫):阪神淡路大震災とオウム真理教の事件が立て続けに起こった1995年をテーマにしたエッセイが素晴らしかった。壁と戦う卵になろう。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
Joao Fonseca's Full Practice:フォアハンド大改造。話題のフォンセカを見習って練習します。(link)
Youtube/戦略的思考のための6原則:ビジョニングと構造化・問題解決に弱い私として、パターン認識とシステム分析、メンタルアジリティ、政治の強度でこれからもメシを食っていきたい。 (link)
パターン認識:雑然とした状況の中から重要な情報を見つけ出す能力
システム分析:複雑なシステムを理解し、モデル化し関係性を把握する能力
メンタルアジリティ:鳥の目と虫の目と、分析のレベルを意図的・流動的にシフトさせる能力
構造化・問題解決:問題を正しく定義し、複数の選択肢を検討したうえで、チームで最良の解決策を見つけ実行する能力
ビジョニング:組織が進むべき、野心的でありながら実現可能な未来を描き、人を巻き込む能力
政治:組織内での影響力を行使する能力。コミュニケーションの順序を考慮し、賛同者を増やし、反対勢力を生まないように注意する能力
カリブの天国・Cheval Blanc St-Barthをみてみよう:LVMH傘下のメゾン。人生一度でいいからいきたい場所。(link)
🧩感じた/感じている
藤田晋オーナーのフォーエバーヤングがサウジカップを制覇。一度追い抜かれながら刺し返すその粘り強さにサイバーエージェントみを感じました。賞金1千万ドル。夢を見るなら馬だ。
意気・キザ・野暮を重んじる心を大事にしたい。
「すべて他人/社会が悪い」よりも「私が悪いんです(だから慰めて/同情して)」のほうがたちが悪い。始末も悪い。だからといって、すべて他人/社会が悪いんだ、と思って良いわけではない。自由や責任との向き合い方には如実にその人の人生観が出るからおもしろい。
友情を大切にしよう。連絡を取るだけではなく、実際に会って会話をしよう。
🍵今の関心事
いつから暖かくなるんだろう。
「チンする」という言葉の意味と成り立ちを非日本語話者に説明するとしたら、最も短くかつ正確な表現はどんなものになるか。
最近大きく資金調達をした高食物繊維・低糖質炭酸飲料のOLIPOP、飲んでみたい。コカコーラも「プレバイオティック・ソーダ」ジャンルに挑んでいる。
🥑活動報告
三連休毎日テニスをしています。同時に、日曜と月曜はがっつり仕事もしています。これが私のワークライフバランス。
オフィスに設置したたこ焼き器、大活躍の予感。毎月たこ焼きパーティを定期開催したい。神戸の(数少ない)モノゴトに真剣でまともな人が集まる場になると良いのだけれど。
3冊目単著の執筆が佳境。並行して4冊目の企画書を書いています。つらつら考え事を文字に落としてはChatGPTと議論・整理、これ、9割の編集者より有能やんけと感動しています。AIはやっつけ仕事を駆逐する。やっと私たち、真剣に仕事と向き合う職業人の時代が還ってきた。
