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2025年1月26日

『好き嫌いと経営/好き嫌いと才能』を読んだ📖

Cobe Associe は、戦略と技術の問いを現場で検証可能な仮説に変える。

好き。by SIC Weekly.

経営コンサルタントが顧客と行う議論の多くは"良し悪し"に関係したものだ。顧客はコンサルに対し、自身の行動の悪を正し、良さを持ち込んでくれることを期待しているし、コンサルタントは「おたくの戦略はダメだ」「素晴らしいA社から学ぶべきはこれだ」と物知り顔で語る。しかし私が独立してからの7年間、クライアントと行った印象深い議論を振りかえると、そのすべてが「好き嫌い」をテーマにしたものだと気づく。どんな勝ち方が好きなのか、どんな状態を毛嫌いしているのか。どんな論理を好み、どんな主張に眉をひそめるのか。ほぼ信念や美学の話である。所詮人間のやること、「合理的だがしっくりこない(≒好きになれない)」行動が、期待した良い結果を生み出すことはないのだ。

最近読んだ『好き嫌い」と経営』『「好き嫌い」と才能』には日本を代表とする33名の経営者・プロフェッショナルと著者・楠木健さんの"好き嫌い談義"が収録されている。「”何でも一番"が好き」なニデック・永守さんはエネルギーに溢れ、「"人をびっくりさせること""すごく大きな規模であること"が好き」なユニクロ・柳井さんはどこまで行っても商売人で、「"実質を伴わないもの"が嫌い」な大前研一さんの言葉には迫力がある。当然のように好き嫌いの形は違い、それでいてみな思いの強度は高く、信念の持ち方・抱え方に人間としての魅力が溢れている。

経営者は「行動のリーダー」でなければならない。現実に商売を創り、戦略ストーリーを構想し、ストーリーを動かし、稼ぐ。こうした本来の経営という仕事は、いずれも「何をするのか」「何をしたいのか」という経営者の行動を問うものであり、運動エネルギーにかかっている。経営者の運動エネルギーはビジネスの成果を最も大きく左右する要因の1つだ。…
開花した事業コンセプトは経営者の理屈抜きの好き嫌いと深いところでつながっている。良し悪しの判断を繰り返して生まれたものではない。直観の根底には、常にその人の好き嫌いが横たわっている。

本書のメッセージを一言でいえば、「好き嫌いの復権」である。とかく「良し悪し」に傾斜しがちな経営論において、「好き嫌い」の視点なり切り口なりを取り戻すきっかけとなれば、本書のねらいは達成されたといえる。
人の好き嫌いを知る。それと相対化して、自分の好き嫌いについて考える。そして自分を知る。これは著者にとって理屈抜きで大好きなことであり、今後も続けていきたい。

先日お昼ご飯を買いにはいったコンビニで、昆布のおにぎりを持ってレジに並ぶ自分に驚いた。私はこれまでずっと昆布のおにぎりを嫌いだと思っていた。それでも、棚に並ぶ十数種類の商品から、ぼーっとした私の身体は昆布を選んだわけである。食べてみたら当然のようにおいしい。私の好き嫌いの強度は、今のところそんなものである。

多くの人は自分自身の好みを理解していない。ましてや、自分が所属する組織の好き嫌いをきれいに言語化出来ている人はいないだろう。
私は1人の経営コンサルタントとして、好き嫌いを明らかにするパートナーでありたい。これだけ情報が行き渡った現代において、選択肢そのものの良し悪し差分は無視できるほど小さく、むしろ好き嫌いの強度とその行動への反映が企業存続のキーなのだと思う。

私は好き嫌いに関する話が好きだ。そして、良し悪しだけを論じるコンサルタントが嫌いだ。これに気づけただけでも価値ある読書体験だった。


💼心惹かれたもの

  • コクヨ/Join:オフィスの椅子を色々試してみたのですが、結局これが一番気持ちいいなとまとめ買い。ゆらゆら揺れるのが気持ち良い。お酒飲みながら座るとがたーんといくので注意。 (link)

✏️読んだ/読んでいる

📃記事

  • 私の「どこでもドア」:マップや経路案内等のソフト、交通網のリアルまですべてが高度に発達したいま、動き出す前からつく時間がほぼ特定できている。確かにこれは「時間と移動が必要なだけのどこでもドア」だ。カバーストーリーで書いたこととも根っこで繋がっている気がしていて、結局、好き嫌いと信念に基づく着火剤+動因としての意志が全てを左右する時代になったってこと。自分を強く持ってやっていこう。 (たよりない話, link)

    どこかに行くことや、誰かに会うことは難しくない。では何が難しいかというと、どこかに行こうと思うことや、誰かに会おうという気持ちになることとが難しい。やろうと思えば世界一周だって出来るだろうけど、そういう気持ちがあるかという話である。

  • マドリード旅行を完璧な4日間に:文字通り完璧だった。プラド美術館、ティッセン・ボルネミッサ美術館、玲奈・ソフィア美術館の芸術黄金トライアングルに始まり、大舞台でオペラを楽しむTeatro Real、現代の建築美を堪能するLa Casa de la Arquitectura、ムーディー映画館を改装したバーまで。私の脳から訪問願望がほとばしってる。 (Caribbean Progress Studies Institute, link)

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  • 4万坪の土地を買った家族のものがたり:エンジニアとしての本業に飽き飽きしていたところに舞い込んだ大自然を買いませんか?の提案。小さなコテージを改装して貸し出し、洞窟をホテルに改装。ストーリーと体験設計の勝利だ。 (ISAAC FRENCH, link)

  • 「香り」をきっかけにパートナーを探す取り組み “Scent of Connection”:TinderやBumbleといった出会い系アプリは利用者が徐々に減っている。元々は4人のアーティストによるインスタレーションから始まったこのイベントでは、自らの嗅覚と相手の汗の香りを頼りに出会いを探すことになる。この記事の筆者は結局出会いに繋がらなかったようだけど、うまく繋がった人はいるんだろうか。 (Dazed Beauty, link)

  • 今年のCESが意味したもの:自動走行車/ロボティクスは一段違う次元に進化する、AIはインタフェースの進化としてまずは現実化する、AR/VRがようやく生活の中に溶け込む、など様々な識者のコメントが掲載されています。みんな総じてポジティブ評に見える一方で、SNSではちょこちょこ"幻滅"コメントも見かけたのだが、実際どうなのだろう。いろんな配慮が手垢のように尽きまくった現代では、この「実際どうなの?」を聞ける場所はもう居酒屋にしか残されていない。 (Lia, link)

  • Amazonが生成AIで配達を高速化する仕組み:3ヶ月で20億個もの荷物を顧客に届けるAmazonの物流チーム。CNBCの取材では、2020年から彼らが生成AIをサプライチェーン最適化モデルの開発に活用し、2022年からはそのモデルをロボットに埋め込んでいると報じられています。Amazonの倉庫で稼働するロボットは2024年時点で75万台。完全自律型の次世代運搬ロボット・Proteusは生成AIとコンピュータービジョンで障害物を回避し移動する。技術の活用も、気合いと根性から始まり、最後は規模が勝つ。 (Gigazine, link)

  • 機械や群衆に自分の世界を決めさせていいのか?:元記事副題 "自分で選択しないうちは、世界はいつまでたっても退屈なまま"そのままの意味です。 (Hot Takes, link)

  • 決断する役割、指示する役割:指示嫌い」症候群、の文字を読んではっとして、グッときた。みんな決断が嫌いなのに決めるポジションに行きたがるし、指示するのもされるのもいやなのに、指示が飛び交う現場に吸い込まれていくのはなぜなんだろう。 (タイム・コンサルタントの日誌から, link)

  • 善人になるための方法は最適化できない:何を持って善とするかは時代や場によって移ろいゆく。「コントロールできている感」の呪縛から離れ、日々悩みながらも前を向いて全力を尽くしていくのが唯一の道。AIは倫理的なことについて何も教えてくれないのだから。 (Vox, link)

  • あらゆる物事を好きになる方法:別の角度から眺めてみる、強弱を調整してみる、製作者に関心を持つ、自らの身体の反応を確かめてみる、小さなディテールに没頭してみる、批評の語彙を増やす、欠点を言語化してみる…「私の特技のひとつは、物事を好きになることだと思う」これ、私も言うようにしよう。 (Sasha’s Newsletter, link)

📙本

  • 時間移民 劉慈欣短篇集Ⅱ:前作「円」に続き最高の作品集。宇宙拡大が止まった世界を描く『宇宙収縮』や未来へと人間を送り出す『時間移民』みたいな古典的テーマを取り扱った作品に惹かれつつ、ある種の皮肉というか、AI/VRなど現代的テーマを取り扱った『共存できない二つの祝日』が一番好きでした。 (Amazon, link)

  • 大阪と堺:一番驚いたのが江戸時代・大阪奉行所の債務者対応。何ヶ月か毎に奉行所に呼び出して、「返されへん・・・」が何度か続くと全財産が没収となるものの、この手続きを通じて無一文になった債務者専用の長屋があったらしい。当時から懐の深い都市やったんやなぁ。 (Amazon, link)

  • ガンディー 獄中からの手紙:彼が考える真理と愛の関係性が深く理解できました。以外だったのが、厳格である意味過激な思想・行動で知られる彼も、ユーモアの達人だったこと。私も、強い思想を手放さずに、笑いを抱えた人間であり続けたい。 (Amazon, link)

📻観た/聴いた

  • YouTubeと半導体製造:Stratecheryでぜひ読んで/聴いて欲しい。link

  • 棒を使った肩周りトレーニング法:テニスで肩甲骨周りの堅さを感じていて、足つぼに行ったら僧帽筋周りに張りがあると言われたので、オフィスに120cmの棒を置いて、毎日↓をやっています。キツい&楽しい。


🧩感じた/感じている

  • とあるプロフェッショナルファームの企業ミッション原稿を拝見して、その強固な信念と美文に感動している。

  • 読んだものの再掲。"自分で選択しないうちは、世界はいつまでたっても退屈なまま"

  • 冒頭とりあげた『好き嫌いと経営』に出てくる、元マクドナルド・原田さんのリサーチに関する一節が本質だった。「リサーチの本を出している→田中はリサーチ信奉者」とみなされるのは心外である。

    リサーチというのは顧客の体験や過去の検証であって、将来を予見するインサイトではありません。お客様がまだ自覚しておらず、言葉にならないところにビジネスチャンスがあるわけです。自分が信じるものを企画して提供し、実際のところ信じたように動いているかどうかを検証するためにリサーチはある。リサーチはあくまでナビゲーションの道具の1つにすぎません。リサーチにナビゲートそのものを委ね、リサーチで企画を立てるようでは駄目ですよ。

🍵今の関心事

  • 先週金曜までダボスで開催されていた世界経済フォーラムでどんな議論や意思決定がなされたのか。今回のテーマは『インテリジェント時代のコラボレーション』

  • 年男としてどんな面構えで残りの11ヶ月を送るか。
    "十二支のへび年は伝統的に、繁栄や活力、再生、知恵、内省などを象徴する。特に2025年は1965年以来となる乙巳(きのとみ)で、神秘的な感覚と創造性の豊かさをもたらすと言われている"

🥑活動報告

  • お仕事受注が絶好調です。「ご好評頂いており期間延長!」の"ご好評"と違って、本当に絶好調で、採用だけうまく回れば色々楽ができるのだけれど。私の不出来なところ。反省。

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