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2025年1月12日

1950年代 東欧・中東旅行記『世界の使い方』感想📚

Cobe Associe は、戦略と技術の問いを現場で検証可能な仮説に変える。

年末から読み始め、先週読み終えました。

1953年、ニコラ・ブーヴィエはポンコツのフィアットに乗ってジュネーブを発つ。
旅の手持ちは2年という月日と4か月分の現金。ベオグラードで親友の画家ティエリと落ち合い、ロマの旋律に導かれるように東へ東へとつき進む。
旧ユーゴスラビア、トルコ、イラン、アフガニスタン・・・・・・
世界から世界へ、道はどこまで続いていくのか。
「世界は水のように身体のうちをすり抜け、わずかな時間だけ、その色を貸してくれる」
みずみずしい旅の記憶は色褪せることなく、いまもなお旅人に熱く語りかける。

英治出版, 2011年。

 決して読みやすい本ではない。フランス語話者独特の表現、現地文化がわかっていないと理解が難しい比喩、編集者不在で出版された自費出版本らしい無骨な仕上り。それでもこの本が世界中の旅行者にバイブルとして愛されるのは、その圧倒的なリアリティからでしょう。「傷ついた世界の歩き方」の著者、フランソワ=アンリ・デゼラブルが2022年にこの本を辿り直すためイランを旅したのと同じように、私もまた旅に惹かれています。

ボスニアのアコーディオン奏者が奏でるアルペジオ、旧ユーゴスラビア北部にあるロマの隠れ村、北マケドニア・プリレプの街の棺屋街、ナチス占領下・強制収容所の思い出を前向きに語るユダヤ系マケドニア人女性、ベール越しに吸い口が金色のタバコを吸い続けるタブリーズ公衆浴場の女性管理人、「ペルシアン・ブルー」に溢れるテヘランの街(これは私も体験した)、サファービー朝時代の優美なモニュメントを持ちながら寂れ往くイスファハーン(『王のモスク』は荘厳だった)、、、、どのシーンも圧倒的臨場感で描かれている。途中軍事都市に寄り一悶着あったり、ギリシャで全然稼げず早々にトルコに脱出したり、砂漠で車が故障して死にかけたり。これぞ妥協なき旅行記。

トルコにあるギスレンという街を描いた描写が美しい。

海沿いの通りの先に、琥珀色の酒やレモネードを詰めた巨大な瓶が並び、その隙間から嵐を含んだ光が差しこんでいた。藤の花びらが芳香をただよわせながら散っていく。部屋の窓から、漁師たちが話をしては小指を合わせながら、おぼつかない足どりで広場を何度も行き来しているのが見えた。たくましい身体つきをした数匹の猫が、周囲の石畳の上に魚の骨や欠けらを広げて居眠りをしていた。灰色の鼠たちは側溝に沿って走っていく。完璧な一つの世界だ。

イランのシーラーズも。すべてのアルコールが禁じられてしまった現代イランとの対比。

そしていま、僕らは上品で静かなこの町にいる。レモンの香りがただよい、イランでも最も美しいペルシア語が話され、水のせせらぎが一晩中聞こえる町。ワインはシャブリのように軽やかで、地下での長い眠りで清められている。

もう少ししたらこの本をテーマにポッドキャストをとる予定です。お楽しみに。


💼心惹かれたもの

CESの時期が近づいてくると魅力的家電がたくさんお目見えして嬉しい。分野毎の注目ポイントまとめ。Nvidiaからは超小型スーパーコンピュータが登場。

  • Wifi・Bluetooth接続のスマートピザ窯・Current Backyard:The Vergeで見つけた。40センチ大のピザをわずか2分で焼き上げる。屋内利用も可能とのことで、いよいよオフィスに欲しくなってきた。 (link)

  • これぞスマートグラス・Halliday Glasses:フレームの右上に超小型ディスプレイモジュールを搭載しておりメッセージ確認などが可能に。AIアシスタントとも連動。最大40ヶ国語のリアルタイムAI翻訳、道案内のライブナビゲーション、音声からテキストへのメモ書き等が可能とのことでいよいよ未来。 (link)

✏️読んだ/読んでいる

📃記事

  • 個人目標を設定することの本当の意味:年始に設定した目標、さっそく蔑ろにしてないか??それでも、行動変化が起きていて、日々に活力が溢れているなら良しとしよう。 (The Atlantic, link)

  • 金持ちになったが自分の人生をどうしたらいいのかわからない:愛用している画面録画サービス・Loomの創業者兼CTOのリアルタイム苦難告白。23年末にAtlassianに$975mで買収され本人も$60m(約100億円)のお金を手にしたものの、2024年は迷いと苦労の年だったと。DOGEにも関わっている(いた?)らしい。今年年末にまた更新版を読みたくなる。楽しく生き抜いて欲しい。 (vinay.sh, link)

  • 間違いを恐れない:ブログ・トップページの言葉が強烈。最終行に心から同意。 (nlopes.dev, link) >
    "Computers were a mistake.

    Software was a bigger mistake.

    I love learning from mistakes"

  • ネアンデルタール人とヒトが交雑したのは思ったより最近:2つのことなるアプローチで計算したところいずれも約5万年前に両者の子どもが生まれていると推定。一方、アルファベットは従来解釈より5百年古くから発明されていた可能性があると、シリア北部の古代都市の発掘調査チームが発表。歴史の探究はずっと続きますなぁ。 (Nature, link)

  • 退職後におすすめの10カ国:タイ、スペイン、メキシコ、コスタリカ、ポルトガル、パナマ…やっぱり晴れてて暖かい国が人気。タイと日本の二拠点が私の理想です。 (Quartz, link)

  • トランプ・メラニア大統領夫人のドキュメンタリーがアマプラに登場予定:最高の成り上がりストーリーでありつつ、移民に対して厳しい姿勢をとるトランプ大統領が「身内に甘い」と非難される要因の一つになっています。いよいよトランプ政権が始まる中での番組公開、どんな仕上がりになるか楽しみ。 (Axios, link)

  • 食生活の乱れにより腎臓結石になる子どもが増加:1990年代から2010年代ノデータを分析したところ、10代男性・女性ともに20%超の患者増加が観測。Nationwide Emergency Department Sampleのデータでは、年間3.8億ドルの医療費が費やされています。背景には食生活の変化、具体的には高塩分、ファーストフード・加工食過多が関連している可能性が高い。 (The Washington Post, link)

  • 孤独は心臓病や脳卒中のリスクや感染症へのかかりやすさと関連する:Nature Human Behaviorに25年1月3日付けで掲載された研究。4.2万人のバイオバンクデータを解析し、社会的孤立に関連する175のタンパク質と孤独に関連する26のタンパク質を発見。これらは炎症、ウイルス感染、免疫反応の一部として産生され、心血管疾患、2型糖尿病、脳卒中、早期死亡との関連も指摘されているとのこと。特にADMやASGR1など5つのタンパク質が孤独によって発現量が増加すると発表。 (U of Cambridge, link)

  • 3Dプリンタで丁寧な暮らし:小型のレーザーカッターと3Dプリンタ、オフィスに置きたいものの上位に長くあるんだけど、Kosekiさんのように使いこなせる自信がない(小さいときからガンプラさえ兄貴につくってもらっていた私なので)ために手を出さずにいる。3Dプリンタで丁寧な暮らしを実現している人は、3Dプリンタ無しでもすてきな暮らしを実現できている人なんだろうと思う。記事中で触れられる「子どもが産まれて3Dプリンターをめっちゃ使うようになった話」をみていっそう実感した。 (You Koseki, link)

  • 人生で最も重要な質問:なにを求めるかよりも「どんな痛みや苦労を望むか?」を問うべきだと。なにかを得て、それを保ち続けるためには闘いが避けられないから。今年目にした"人にノーと言われても大丈夫になったら、欲しいものは何でも頼めばいい"って言葉が頭に残っています。 (Mark Manson, link)

📙本

  • 世界の使い方:2025年最初の1冊にぜひ。いつかイランを再訪するぞ。 (Amazon, link)

  • 「好き嫌い」と経営:2024年の読書で心に残った一節を棚卸していたら、この本からの引用がやたらと多く、一から読み返しています。ユニクロ・柳井さんやニデック・永守さんはやっぱり経営の神様に愛されるべくして愛された(というか取り憑かれた)人なんだな。私は元ライフネット・出口さんの仕事観が好きでした。そろそろ好き嫌いを前面に押し出してやっていくぞ。 (Amazon, link)

  • 調理場という戦場 「コート・ドール」斉須政雄の仕事論:テレビプロデューサー・佐久間さんが何かでおすすめしていた書籍。23歳でフランスに渡り血反吐を吐きつつ超一流シェフになった方がいう「早くゴールしないほうがいい」「効率のいい生き方をしていると、すり切れていってしまう」という言葉をどこまで信じたら良いものだろうか。今年36歳になる私、まだまだゴールをじっと見据えてやっていきたい。 (Amazon, link)

📻観た/聴いた

  • 息をのむような10の夜景 by 天体写真家デレク・カルバー:地球と宇宙の神秘がここに。 (link)

  • NVIDIA CEO Jensen Huang Keynote at CES 2025:お勉強。 (youtube, link)


🧩感じた/感じている

  • 巳年、今年は年男。"脱皮を繰り返す蛇は執念深く「再生と復活」を象徴する"らしく、この精神でやっていきたい。たくさん挑戦して、失敗にめげずにやっていきたい。

    長野・松本で仕入れた干支イラスト。かわいすぎ。
  • 今年、Nintendo Switch 2が登場するはず。出たら必ず買う。

  • 毎週、人生原則ケヴィン・ケリーからの101アドバイスを見返すことにする。

    • たとえ犠牲を払っても、常に誠実であろう

    • 物事がどんなに悪く見えても、すべては過ぎ去る

    • 永続的な価値を生み出すものは何かを見極めよう

    • 年を取っても「スピードダウン」するのではなく「スピードアップ」すること。 変化に身を任せ、新しいことに好奇心を持とう

    • 何かを批判する最善の方法は、何かをより良くすること

    • 少なくとも一日に一度は「わからない」と認めることが、あなたをより良い人間にす

    • 最も価値のあるフィードバックは、たいてい多くの痛みを伴う

    • 失敗よりも平均化を恐れろ

    • 美術館で作品を本当の意味で"鑑賞する"には少なくとも10分必要。 30秒ずつ100点見るより、10分ずつ5点見ることを目標に

    • 何十年の単位で考え、何日の単位で行動する

    • アイデアが尽きたら、散歩に出かけよう

  • 2025年も美しさ溢れる1年にしよう。2025自体がここまで美しいのだから。

    ワルツの季節」より。

🍵今の関心事

  • 今月22日に関西将棋会館で予定されている、西山朋佳女流三冠のプロ編入試験最終戦の行く末。初の女性棋士誕生に向けて全力応援しています。

  • 今週末の神戸事業家新年会が楽しみ。いつも刺激(と大量の酒)をもらっています。

  • ハーバード大学のジョセフ・L・バダラッコがいう「決定的瞬間」で自身がどう振る舞うべきか。

🥑活動報告

  • Cobe Associe会社紹介資料を更新しました。昨年末からインターンチームと整理してきた『リサーチ/インテリジェント組織における生成AI活用の110ステップ』の内容も盛り込んでいる力作。良い縁に繋がるといいな。

  • 西宮戎詣でで昨年の商売繁盛への御礼を捧げてきました。一回り大きな熊手・大笹ともに、今年も大繁盛に向けてがんばります。

  • 今年はいよいよ採用+チーム作りをがんばるので、周りに独立コンサルがいる方、ぜひお知らせください。市況は厳しくなっているとのことですが、当社絶好調なので、拡大基調でしっかり人に投資していきます。

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