2024年7月14日
ナイキが教えてくれること🎾
Cobe Associe は、戦略と技術の問いを現場で検証可能な仮説に変える。
1ヶ月前からテニス少年たちと一緒に英語を勉強している。少年たちは「教えてくれてありがとうございます!」と言ってくれるが、長野生まれ・海外留学経験もない私に教えられることはほとんどない。ただ一緒にプロ選手の英語スピーチをみて「この選手の発音かっけぇよな」と感想を共有するくらいだ。少年の1人は9月からテニスで米フロリダに留学(錦織圭と同じアカデミーにいく)、もう一人は海外で国際大会を転戦するということで、あと半年もすれば「あいつの英語はだいぶ適当だったんだな」とばれる運命にある。誤解が解けるのが早いに越したことはない。
男子テニスの若手トッププロにカルロス・アルカラスという選手がいて、とんでもないコートカバレッジとパワーで世界トップまで一気に駆け上がったスペイン人である。一昨年世界ランク1位になったのだが、将棋界で話題の藤井聡太七冠より更に年下であることに一緒に驚いてほしい。プレイ動画を見てもらえばすぐわかるのだが、全身からエネルギーがあふれ出ていて少年たちにも大人気。"これだけ動ければそらNothing is Impossibleですわ"と思わせるあたり、ナイキの契約選手としてぴったりの存在である。
少年たちとの勉強で、ナイキのロゴに併記されることがある文章"Just Do It"が持つ意味合いを話す時間があった。「まぁなんだろう、とにかくやってみよう、って意味かな」と話したものの、少年たちはわかったようなわからないような表情をしている。各単語の意味は中学1年生でもわかるし、"Just"がどんなニュアンスを伝えたいかもなんとなく把握できている(それだけでもすごいことだ)。しかし彼らからすると「もっと書くべきことがあるのでは?」「もっと具体的なことをいえばいいのに」となるのだろう。
思えば、テニスに全身全霊をかける彼らにとって"Just Do It"することは当たり前のことで、わざわざ誰かから言われるまでもないことだ。スポーツにおいては実践が全てである。どんなに考え方が優れていても、素敵な表現で批評ができたとしてもそれらは些末なことに過ぎない。コーチ・指導者に言われたことやみずからが感じる必要なことを試し、向上する。その繰り返しがみずからの明日を、将来をつくることを彼らは直感的に理解している。世界中の採用担当者がスポーツエリートを好んで面接に招く理由もここにあるのだと思う。(ちょうどこの週末、某赤い銀行の偉い人が「東大・京大卒でもスポーツ経験なく入行してくる人には、一定割合で石丸みたいなやつがまざっとるんや。な?わかるやろ?」と言っていた)
ChatGPT曰く、ナイキがこのタグラインを採用するのは「多くの人々が行動を起こすことに対して不安や恐れを感じている」からだ。この意図に従うなら、新規事業に取り組むお客さんに私が日々伝えていることの半分は"Just Do It"の長い意訳である。本当に必要な"Do"が後回しにされ、意味のない会議や資料づくり、データ集めが横行している現場に必要なのは心身のエネルギーと"Just Do it"精神である。不安や恐れを解決してくれるのは会議や資料ではなく行動である、と8割の人が理解してくれればもっと物事は簡単になるのだけれど。(私の仕事は消滅するが)
少年のひとりに「結局、どうやったら英語が話せるようになりますか?」と聞かれたので、ただ笑顔で"Just Do It"と伝えておいた。それから数日経ち、テニスコートで彼に「どうやったらそんな綺麗にボールを打てるようになるの?」と聞いたら、"Just Do It"と笑顔で返された。英語もユーモアも使いこなす少年の未来は明るい。
💼心惹かれたもの
もっちりぬいぐるみ/Pokémon Sleep:カラカラがかわいかったので我が家に招き入れました。周りの子たちと仲良くしているので嬉しいです。 (link)
梅ヶ枝餅:福岡のお土産として神戸に持ち帰りました。博多通りもんをテニススクールの子どもたちに配ったら喜ばれたので、良い週末でした。
✏️読んだ/読んでいる
📃記事
幽霊たち:仕事に全身全霊を捧げる全ての人におすすめの短編小説です。全霊を捧げたことがある人にしか会えない幽霊がいます。 (youkoseki.com, link)
Nvidia CEOから学ぶ15の人生・仕事レッスン:言われると当たり前なんですが、一つ一つ、心に刻みましょう。 (Creator Economy, link)
市場規模"0"億ドル市場を目指そう:新しいことをやりたいのに「でかい市場を探す」ことの矛盾に気づいているか?
戦略とは言葉ではなく行動である:戦略をパワポにしたい?なんで?
キャリアでは痛みと苦しみを味わおう:先週も行ったとおり、向かい風を使ってこそ高く飛ぶことができる
ライフワークは時間を使って探そう:このニュースレターを読むだけの時間と余裕が持てているなら、まだ慌てるような時間じゃない。
電子レンジ経済:便利でシンプルなものと同時に、複雑で面倒くさいものも愛そう。圧力鍋やグリルも捨てたものじゃない。効率化に伴うトレードオフのことを考えたことはあるか?あなたは美学を失っているのかもしれない。 (David Perell, link)
スロー・ミュージアムへようこそ:美術館や博物館の経営が厳しくなるに付け、多くの来場者を効率的に処理していくような展示が増えているとのこと。一部の気骨あるミュージアムは、あえてゆったりと空間を遣い、あせらない時間の使い方を来場者に促している。本来そういう場だぞ!応援したい!と思いつつ、経済が社会を飲み込みつつある現代においては難しいチャレンジだと感じる。 (The Art Newspaper, link)
3D地図で見るインドの人口密度:コルカタは1平方キロあたり2.5万人。日本の1位は東京でそれでも0.6万人というのに。北海道に至っては1平方キロあたり65人だぞ。。 (Visual Capitalist, link)
ノイズキャンセリングがあなたの耳を守っている:通常のイヤホンだと騒音に負けないように大音量で音楽やポッドキャストを聴くことになるため、振動が鼓膜などにじわじわダメージを与えることになる。耳の健康に注意を。 (Vox, link)
偏頭痛は「脳の停電」かも:7/4付けのScience誌に掲載された研究の紹介記事。脳の神経細胞の活動が短時間停止し、脳脊髄液の内容が一時的に変化することが偏頭痛と関連しているのではと。 (nature, link)
いまこそ「中休み習慣」を:米保険会社のキャンペーンにより"Hump Day(しんどい日)"と呼ばれるようになった水曜日。スウェーデン語でLillördag(小さい土曜日)と呼ばれる小休止文化を取り入れて、水曜夜に小さなお祝いをしてはどう?との提案。
水曜夜に楽しみな予定を入れることで1週間エネルギー高く過ごすことができるぞ。おすすめ。 (teuxdeux, link)
あなたは遅咲きかもしれない:セザンヌがはじめて個展を開いたのは56歳の時。評価は他人からのものなので、時間がかかることもあるんだとみずからを励まそう。希望を捨てずに。同時に、年齢を言い訳にせずに。 (The Atlantic, link)
📙本
ユニクロ:迫力あるノンフィクション。先月のDIAMONDハーバードビジネスレビューの特集で柳井さんがキャリアのインタビューに答えていたのですが、その内容も大変良かったです。曰く「人生の行き先を決めるのに、早すぎることはない」と。 (Amazon, link)
…目的と手段を取り違えてはいけません。ビジネスの世界では、それがあまりに頻繁に起こっています。最近では、まるでDX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)がゴールであるかのように語る人たちもいますが、私はそういう人たちのことをまったく信用しません。すべては自分たちの商売をよくし、最終的に世の中をもっとよいものにするための手段であり、それ自体が目的ではないのです。
Love the Problem 問題に恋をしよう:序盤が圧倒的に面白かった。スタートアップを始めたり大企業の中で新規事業担当として手を挙げることは"非合理/不条理"の極みなので、それを支えてくれるのは愛の力のみなんだよな。 (Amazon, link)
文体練習:言葉を扱う人にとっての名著・名作を、先週機会があって2回もご紹介しました。改めて読み返してみたのですが、一つのシーンで、こんなにも言葉で遊べるなんて。「文章をもっとうまく書けるようになりたいな」と長く思ってきたのですが、最近は「言葉を使って人と楽しく遊びたいな」と感じています。 (Amazon, link)
📻観た/聴いた
劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎『バサラオ』:福岡で観てきました。舞台好きの友人が「あまり好きになれない」と言っていたのがなんとなくわかる仕上がりで、あれですね、めちゃくちゃ金のかかった暴れん坊将軍ですね。 (link)
Rebuild “387: Time To Sleep”:一番長く聴いているポッドキャストの最新回。後半の複数形のお話しが面白かった。翻訳/Translationと現地対応/Localizationは違う、ってとこの具体例はぜひ使いたくなった。あなたは “{numbers} languages are available”をサービス上でどう表記するだろうか。Web/App上の多言語対応に生成AIを使うのはなかなか難しい場もよかった。想像力の行き先は常に具体の場面にある。 (link)
🧩感じた/感じている
この週末に起きたことによって、次の大統領はほぼトランプで決まり。いろんな「知識人」が適当なコメントを垂れ流しそうなので、当分の間、政治系のニュースに触れる頻度を落とそう。米国の株高は一層すすむはずなので板に張り付いている方が実益があるし精神も健全に保てるのではないか。
祭りに埋め込まれた論理の魅力。博多山笠、祇園祭で日本の週末が盛り上がっていました。一方、忘れ物を取りに行った日曜昼のグランフロント大阪は、スマホゲームのイベントが行われていたようで通路脇で大人が小さな画面をタップしまくっていました。リアルを生きる方が人生は楽しいと思うんだけど。
森博嗣が言っていたとおり、夢を失っていく人は、一般に、自ら希望して手放している。
🍵今の関心事
"Just Do it."/「まずやってみればいいのでは?」を、100パターン違う形でいえる人間になりたい。どんな努力ができるか。
新オフィス、空間をどう使うか。
食生活を整えるために日常に埋め込める個人ナッジ。
🥑活動報告
あと1ヶ月半で当社・Cobe Associeの第5期も終わりです。会計期末だからといって特別なことはないのですが、会計締めは社会人としてもらう通知表の一つ、納税額は社会貢献の規模指標。噛みしめたいと思います。


