試考錯誤:禅とは”道の中にあること”
旅人のバイブルとも言われる沢木耕太郎の『深夜特急』。欧州からの若い旅人に”禅とは何か”と聞かれ、ゆっくりと考え、”Being on the road”と答えるシーンがあります。印象深い場面でした。
実に意気な応え方です。辞書的な定義や歴史、特定の教義や形式を語るのではなく、禅の本質をあり方そのものとして捉える見方を共有しています。オーディオブックで耳から触れたこの言葉は、私の頭の片隅にずっと留まり続けています。
日常という修行の場
以前講演会でご一緒したとある禅僧は。「日常のあらゆる行いが、禅の修行なのです」とおっしゃいました。心を込めて部屋を掃き清めること。目の前の相手のために一生懸命に食事をつくること。評価や反論を挟まず、ただひたすらに誰かの話に耳を傾けること。これら一つひとつが、座禅を組むのと等しく、尊い禅の実践なのだ、と。
つまり、禅とは特別な場所や時間の中に存在するのではなく、ただ真剣に日常の中にいることそのもの。結果や成果などの望ましい未来を求める心から離れ、同時に過去・歴史とも自らを切り離し、ただいまここに没入して取り組むこと。歩むという行為そのものが目的であり、禅である。旅の中にあった沢木さんからでてきた言葉として一層深みを増しています。
コンサルティングという「道」
翻って、私たちの仕事。「コンサルティングとは何か?」 「リサーチとは何か?」
この問いに対する一般的な答えは、顧客の課題解決や意思決定に資する情報提供かもしれません。もちろん、それは正しい。アウトプットは生命線であり、結果を出せなければプロフェッショナルとは言えません。しかしこの仕事の本質はそこにあるのでしょうか。
思うに、コンサルティングとは、リサーチとは”顧客と共に、道の中にありつづけること”です。
報告書や提案書というアウトプットは、いわば旅の途中で立ち寄った宿場町や、そこで書き付ける旅行記や旅行計画にすぎない。一休みし、これまでの道のりを確認し、次の行程に思いを馳せる。そのときに旅の価値や意味を実感するのは気持ち良いことかもしれないけれど、決して旅の終わりではありません。納品を終えるやいなや「はい、終わり」と道に背を向ける仕事はなんと空しいものか。
重要なのは、そのアウトプットが生まれるまでのプロセス、あるいは生み出した後のプロセス、つまり顧客とどれだけ真剣に向き合い、共に悩み、同じ景色をみてきたか・みていくかという道そのものです。道に居続ける覚悟はあるか。
私たちは、成果という名の点で仕事の価値を測りがちです。しかし顧客は永続を前提とする企業である。真の価値は、プロセスという線の中で生んでいかないといけないのです。とにかく、道にあること。 その道を、息を切らしながらも楽しんで歩もうとする人と、共に働きたいですね。
企業概要

Cobe Associeはリサーチ+事業支援コンサルティングを行う会社です。新規事業関連の取り組みやCVC・社内起業支援事務局の支援、スタートアップの戦略検討などを行っています。2018年の創業以来60社を超える企業とプロジェクトをご一緒してきました。
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