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ニュースレター】よっしゃ、拙速でいこうか。

2026.01.26

毎週月曜朝にsubstackで配信しているニュースレター『こーべ通信』の最新号を配信しました。


先日、休日の大病院で、救急外来受付前のソファに1時間ほど座っていた。自然と耳に入ってくる会話から、ここがいろんな生、あるいは死の行き交う場所だと気づく。

極度の腹痛に襲われタクシーで来院するもけろっと痛みがなくなったんですと訴える革ジャン中年男性(尿路結石症だろうか?)。強い頭痛と止まらない咳で受診した息子が共通テストの再受験ができるかどうかを気に揉む家族(この日は二日目だった)。救急車到着から10分後に響き渡る新生児の泣き声。ストレッチャーを押し奥に入っていくネクタイ・黒スーツ姿の男性2人。

医療の現場は雑踏からずいぶん遠くのところに集中して置かれるようになった。街場のクリニックは重要性・緊急性の選別や処方・治療管理が主たるお仕事で、生き死にに関わることは商業地から距離のある、病院の奥地で静かに淡々と行われている。病院は、街から生と死を隔離するための巨大なバッファの向こう側にある。

小説『シャンタラム』では、豪州の刑務所から脱獄した主人公がインドで藪医者として活動する。もちろん無資格だ。ちょっとした救急キットと薬を手に持ち、一般人に毛の生えた程度の知識でなんとか住民の生を繋ごうと奮闘するのだ。生と死が濃密に入り交じる1980年代のムンバイのスラムで。

私たちは日々、死を少しでも遠ざけるべく生きている。現代の街はその結果だ。仕事で金を稼ぎ、衣食住を充実させ、健康に気を遣い、趣味に没頭することで老病死の存在を脳から追い出そうと必死になる。しかし病院のソファに座っていると、老いも病も死もそのすべてが確実に万人に訪れ、人によっては突然の訪問となることを痛感する。

自然人と違って法人、会社は永続性、ゴーイングコンサーンの原則がその前提にある。自然死は存在せず、経営者が諦めず、必要な支払いが続く限りにおいて、法人は生き続ける。だから、「○年後にこれをしよう」「●をするためにはまず◎から」のように、時間軸を長く考えるのがよいのだろう。しかし個人は違う。命は有限で、終わりは突然訪れる。拙速は、法人にとって悪であり、個人にとっては善なのだ。自身に限った意志決定なら、計画よりも速度である。無慈悲な暴風にさらわれる前に、さっさとはじめるべきなのだ。


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