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ニュースレター】”どんぶり勘定🍜”を実践する。

2025.12.01

毎週月曜朝にsubstackで配信しているニュースレター『こーべ通信』の最新号を配信しました。


いつのまにかネガティブな意味が付けられてしまった文字面普通の言葉がある。例えば『洗脳』。洗顔や洗髪はきれいさっぱりポジティブな印象を放っているのに、頭蓋の奥、脳みそをすっきりさせる洗脳は真逆のイメージを持つ。さらに『伝書鳩』。ペルシャやエジプトで紀元前から活躍していた伝書鳩は、あらゆるリスクを背負って何百キロと飛ぶ勇者だったのに、いまでは無価値な営業マンやプロジェクトマネージャー、中間管理職を揶揄する表現になってしまった。御用学者や天下り、忖度に隠れ蓑。日本語学習者は大変だ。

コンサルタントとしてあるまじき姿勢かもしれないけれど、私は『どんぶり勘定』肯定派だ。この言葉は、昔の職人たちが、腹掛け前部についた大きめポケット(”どんぶり”)を財布や物入れとして雑に利用していたことに由来する。私が働き始めて以来、この言葉を聞くのはほぼ非難の場のみで、職人らしい気っぷの良さ、鷹揚さとは結びついていない。「どんぶり勘定でやっているからダメなんだ」「どんぶり勘定脱却のために…」…どんぶり勘定は危険なものであり、利益を溶かす病でさえあるらしい。

どんぶり勘定否定は、とにかく可視化!とにかく記録!とにかく管理!と叫ぶ。Excelや会計ソフトにデータを集め、個別明細は全て保存・インデックス化し、経営目標をたてて進捗を定期的に見直そう(そのために私たちの製品・サービスが役立ちます)そうすれば未来はバラ色になるらしい…本当だろうか?マネーフォワードやMoneytreeと連携されたあなたの銀行口座は増えているのか?

仕事で普段お付き合いしている企業はどこも、どんぶり勘定からほど遠いところにいる。会計ソフトは基幹システムにばっちり統合され、可視化も完璧、あらゆる分析に対応したアドオン・SaaSが載っている。盤石のガバナンスを体現する稟議システムが隅々まで行き渡り、費用対効果に関する会議がそこかしこで開催されている。どんぶり勘定否定派の夢は「企業はみな大手JTCのように!」ということなのかもしれない。洗脳が成功したら

どんぶり勘定を許す人は、お金はただのお金であって、目標は別のところにあったことを知っている。職人であればより良いモノをつくること、商売人であれば顧客に良いモノを届けることである。どんぶり勘定は利益を最大化する手段ではもちろんないのだけれど、どんぶり勘定の結果立ちゆかなくなってしまうような事業は、そもそもから何かがおかしいのだ。どんぶりの中に電卓と会計ソフト連動の電子決済端末が入っていて「現金取引お断り!」という職人ばかりになったとしたら、できあがるのはおもろない世界である。

先週税理士さんから来年夏までの予定納税予定が送られてきたのだけれど、その金額の大きさにびっくりしてしまった。日々どんぶり勘定でやっている私は、あまり開かない銀行口座の残高を恐る恐る眺め、なんとかなりそうだとホッとする。自分がまともな商売をしていることを、その瞬間に実感するのである。


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