ニュースレター】受けのユーモア。
毎週月曜朝にsubstackで配信しているニュースレター『こーべ通信』の最新号を配信しました。
これまで仕事でしんどい場面に遭遇する度、ほぼユーモアの力で乗り切ってきた。10年以上コンサルタントをやっていれば、怒りや不和、不安、葛藤、その他思いつく限りのネガティブシーンど真ん中に立たされることもある。そんなとき、大きな会社で出世をする優秀サラリーマンは無難な落とし所への道筋をつけ、ぶち賢い一流プロフェッショナルは知性と論理(ときにスタッフへの暴力と圧力)で解決をはかる。私は彼らのようにはできないのだが、できるだけ暴力も使いたくないし、20歳から学びはじめた関西弁と緩急織り交ぜた投球術(?)でなんとここまでやってきている。有り難いことにお客さんや同僚からの評判は上場で、この商売を続ける限り、現状の独自スタイルでだましだましやっていくのだとおもう。もし私のみを参照して経営コンサルタントを定義するならば、類似職種は弁護士というよりもピン芸人になるはずだ。
私のユーモアスタイルは徹底的な受けである。「何か面白い話をしてください」と乱暴に振られても力を発揮できない(これができる人は『酒のツマミになる話』や大喜利が強い)。このままだとスベるな/良くないことが起きるなとぼんやり皆が感じる場にスッと何かを差し出すのが得意だ。ひな壇から字幕になるようなツッコミを発してディレクターの方をちらちらみるタイプ。私がユーモラスであるためにはライブ感が必須。
突然話は変わり将棋のことなのだけど、皆さんご存じの通り、伊藤匠先生が王座のタイトルを獲得した。藤井聡太先生からタイトルを奪い二冠。21歳にして既に九段である。伊藤将棋の特徴は、強靱な受けである。相手の攻めをいなし、攻め駒をむしろ攻め返し、敵の陣形にいやみを付け、不利な状況でも簡単に土俵を割らない。受け将棋は相手にじっとりとしたプレッシャーを与え、最善手からほど遠い弱気な手を指さしめる。人間同士が勝負をしてるのだ。伊藤先生は人間同士の戦いがどういうものであるのかを知っている。対局後インタビューの藤井先生が語った2人の差異が印象的だった。
終盤戦において私(藤井先生)はどうしても狭く深く読む傾向があるが、伊藤さんは私より広く読む。
狭く深い思考に支えられた攻めは強い推進力を生む。相手の頭を徹底して上回り、そんなところまで読んでいたのかと相手を圧倒する戦い方である。かっこいい。多くの人が憧れる。一方、思考の広さは地味だ。そしてどれだけ広く考えようと現実になるのは1本の筋のみ。捨てるものの多さを考えれば非効率に見える。ほとんどの人が狭さ、深さ、攻めに憧れるのは必然だ。
しかし狭く深い思考は人間頭脳と相性が悪い。藤井六冠のように、どの手を指すかについて3時間以上真剣に考えられる人がどれほどいるだろう。思考体力のない人が実践するのはせいぜいしょぼいタイパ・コスパ思考であって、しょぼい大喜利回答でスベり続ける事になる。
天才以外が結果を出そうと思うならまずは受けから学ばなくてはいけない。狭く深く考えられる天才のために、まずは広く読み、考えるのだ。生成AIに頼っても良い。まずは広く。いろんなことを勉強して、考え、誰かの話に一言添えるユーモアから実践すべきである。受けが強い人がもっと評価されてほしい。これはもちろんポジショントークなのだけれど、過激発言ばかりが世を飛び交う時代の要請でもあるとおもう。
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