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ニュースレター】決断を生業にする。

2025.10.20

毎週月曜朝にsubstackで配信しているニュースレター『こーべ通信』の最新号を配信しました。


決断を生業にする。
https://cobe.substack.com/p/251

独立して7年も(まじめに、びっくりするほどまじめに)仕事をしていると、俗説や空想コンセプト、おためごかしに拘っている暇はないと思い知ることになります。先行事例?ベンチマーク?PMF?TAM/SAM/SOM?SNS上にいるきらきらビジネスマンが語るふわっと概念に「うるせえな」と即座に返す。身銭を切って事業をしていると、小賢い人が押しつけてきた脳底の澱、余計なバリが自然と剥がれ、流れでていき、焦点がシャープになります。現実と歴史のみがまともな論理を教えてくれる。

ものごとを決めることについて、経営書や心理学の本に様々な枠組み・ヒントが載っています。が、耐久性・普遍性はほぼありません。抽象度を少し下げてくれる思考・整理装置にすぎない。まともな決断を適切に描写しているのは、『成果をあげる意志決定とは?』をテーマにドラッカーが語った内容です。今週、お仕事で決断に関わることがあるなら(自分で決めるのでも、他人に決めてもらうのでも)ぜひ一読して、二読・三読としてください。

 意思決定とは判断である。いくつかの選択肢からの選択である。しかし、決定が正しいものと間違ったものからの選択であることは稀である。せいぜいのところ、かなり正しいものとおそらく間違っているであろうものからの選択である。はるかに多いのは、一方が他方よりもたぶん正しいだろうとさえいえない二つの行動からの選択である。
 意思決定についての文献のほとんどが、まず事実を探せという。だが、成果をあげる者は事実からはスタートできないことを知っている。誰もが自分の意見からスタートする。しかし、意見は未検証の仮説にすぎず、したがって現実に検証されなければならない。そもそも何が事実であるかを確定するには、有意性の基準、特に評価の基準についての決定が必要である。これが成果をあげる決定の要であり、通常最も判断の分かれるところである。
 したがって成果をあげる決定は、決定についての文献の多くが説いているような事実についての合意からスタートすることはない。正しい決定は、共通の理解と、対立する意見、競合する選択肢をめぐる検討から生まれる。
 最初に事実を把握することはできない。有意性の基準がなければ事実というものがありえない。事象そのものは事実ではない。

P.F.ドラッカー『経営者の条件』(ドラッカー名著集1 ) p.192

成果を上げる意志決定は、共通の理解と対立する意見、競合する選択肢を巡る検討から生まれる。つまり、延々と調べものをして、正しい(と誰かが語る)情報を積み上げた先に生まれるものではない。Goole検索やAIで調べものをして、マニュアル・教科書が教えてくれる分析を回しているうちは本丸から遠ざかるばかりである。正しさも間違いも何も存在しない選択肢をひねり出し、必死に想像・構想し、10回中8回間違える事を続けてやっと本物になれる(つまり、間違うのが7回に減る)。仕事も、スポーツも、子育て・家族のことも、全部同じである。間違う人にだけ正解のチャンスが訪れ、身を挺して学ぶ人だけが前進する。自分なりの有意性の基準を持つ人だけが、決断を生業にすることが出来る。


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